沖縄県内で新型コロナウイルスのオミクロン株による感染急増を受け、5日に開かれた県の専門家会議。1日当たりの新規感染者数が過去最多を更新するのは確実との見通しが示され、病床不足や医療従事者の感染による人手不足などの「医療危機」をどう避けるかが大きな焦点となった。県が国へ要請するまん延防止等重点措置(重点措置)については「すぐに緊急事態宣言が必要になる」など、切迫した意見が続出。一方でオミクロン株の市中感染が顕著となっており、従来の「水際対策重視」の厳しい退院基準などは緩和を認めることで一致した。
県が設定している警戒レベルの判断指標は現在、感染流行期に当たる「レベル2」。しかし数日以内に2段階上の「レベル3B(感染まん延期)」まで悪化するとの見通しもあり、参加者からは「天井が見えない」「とんでもない数字」といった声が漏れた。
重点措置を巡っては「さらに厳しい緊急事態宣言を国に求めるべきだ」との意見も多数上がった。ただ「次の手がなくなる」「段階を踏んだ方がいい」との慎重意見もあり、最終的には重点措置で落ち着いた。
多数の医療従事者が感染したり濃厚接触者になったりすることで、病院機能にも影響が出ている。本島中部では、複数の病院が救急を閉鎖したという。
このままのペースで感染者が増えれば病床がひっ迫するのは確実。既に入院基準は緩和し、無症状者や軽症者はホテル療養も可能としているが、この日はさらに退院に必要な「PCR検査で2回陰性」との条件も外し、退院を早めて病床を確保することを認めた。濃厚接触者についても、これまではホテル療養中に3回実施していたPCR検査を省略することで一致した。
「オミクロン株は重症化リスクが低い」との見方も多数出された。ただ高齢者などの場合は重症になる可能性もあり、ワクチンが接種できない子どもの感染も確認されている。基本的な感染防止対策を徹底する必要性も確認した。