日米両政府は、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をテレビ会議方式で開き、中国の海洋進出、軍備増強に強い懸念を示し、必要なら共同で対処するとの決意を表明した。

 岸田政権になって初めて開催された2プラス2。共同文書には、過去にない踏み込んだ発言が随所に盛り込まれた。

 日米で「戦略を完全に整合」させ、「共同の能力を強化する」と一体化をさらに推し進めていく考えを強調。敵基地攻撃能力の保有については「国家防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」との日本側の意向が明記された。

 日本はこれまで戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法9条との整合性を図るため、専守防衛に基づき攻撃兵器は保有しないとの立場を堅持してきた。

 国是とも言える専守防衛が十分な議論もないまま、なし崩しに変更されるのは極めて危険だ。

 共同文書は中国が軍事的圧力を強める台湾情勢に関して「両岸問題の平和的解決を促す」と指摘する一方で、「緊急事態に関する共同計画作業について確固とした進展を歓迎した」と言及している。

 共同計画の具体的な内容については会議後の記者会見でも明らかにされなかった。

 自衛隊と米軍は、既に台湾有事を想定した共同作戦計画の原案を策定している。

 同計画は沖縄県を含む南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置くことを想定する。住民が戦闘に巻き込まれる可能性が高く、地元の不安を無視した独断専行は許されない。

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 台湾有事は日本有事に直結するとの勇ましい議論が横行しているが、この種の議論に決定的に欠けているのは、火の粉をかぶるのは誰なのかという現実的想像力である。

 共同文書は米軍普天間飛行場返還問題で、名護市辺野古移設が「唯一の解決策」と従来の主張を繰り返している。

 軟弱地盤の改良工事によって辺野古への新基地建設が大幅に遅れ、普天間返還の見通しが全く立たなくなったにもかかわらず、そのことには言及していない。

 沖縄の負担軽減に本気で取り組む意思があるのか、疑わざるを得ない。

 新型コロナウイルスの感染拡大について日本側は米軍関係者の外出制限を含む感染防止対策の強化を求めた。

 まん延防止等重点措置が9日から適用される沖縄など3県では米軍由来とみられる感染が急拡大しているが、地位協定の改定には一切触れていない。

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 日米2プラス2の共同文書で浮かび上がったのは、「日米VS中国」の構図がこれまで以上に鮮明になったことだ。

 今この地域に切実に求められているのは軍備増強によって緊張を高めることではない。必要なのは関係国の安全保障対話を通して地域の緊張を緩和し、目に見える形で沖縄の負担軽減を進めていくことである。

 そのような取り組みが後方に追いやられ、勇ましい主張が独り歩きする空気は危険である。