【東京】日米両政府は9日、在日米軍関係者の施設・区域外での行動を10日から14日間、必要不可欠な活動のみに制限するとの日米合同委員会共同声明を発表した。岸田文雄首相は9日のNHK番組で、不要な外出を認めない方向で米側と大筋合意したと明らかにしていた。また、首相はこれに先立つフジテレビ番組で、飲食店を対象にした沖縄県の感染防止対策認証制度を巡り、非認証店の協力金の方が認証店より高く設定されていることについて検討する考えを示した。
首相、時短協力金を見直しへ
沖縄・広島・山口の3県には9日、コロナ対応の改正特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」が適用された。
米軍基地での感染拡大を受け、日本は7日の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)などを通じて、外出制限を含む感染対策の徹底を米側に強く求めていた。
外務省によると、必要不可欠な活動には公務や通学、医療サービスなどが含まれる。
共同声明では、在日米軍は出国前と入国後の厳格な検査手続きを維持し、14日間の行動制限を厳格に実施すると明記。日米は「新型コロナ感染症の状況を継続的に監視し、必要に応じてこれら措置の調整を行う」ことも確認した。
外出制限は「米軍が感染源」との自治体の指摘を受けた対応だが、実効性を確保できるかは見通せない。
一方、首相はNHK番組で、日米地位協定の見直しについて否定。在日米軍のこれまでのコロナ対策の是非は「日米合同委員会の場で、保健衛生に関し、しっかりと議論を行うよう指示した」と説明した。立憲民主、共産両党は地位協定を改定すべきだと主張した。
フジテレビ番組では、飲食店を対象にした県の感染防止対策認証制度を巡り、非認証店の方が協力金の設定が高く、認証店から辞退が相次いでいることを問われ、首相は「改善の余地がないかどうか考えてみたい」と語った。
「本当に遅い。猛省を求める」と知事
在日米軍での新型コロナウイルス感染拡大で、岸田文雄首相が外出制限を米側と合意したことを受け、玉城デニー知事は9日、名護市内で取材に応じ「米軍がオミクロン株が広がった原因だと、政府も認めたことになる。対応が遅すぎる」と述べた。
知事は昨年12月17日に日本人基地従業員のオミクロン株感染発覚後、21日には在沖米軍四軍調整官、23日には東京の米国大使館でも感染拡大防止措置を要請した経緯を説明。
その上で、米軍や政府の対応について「本当に遅い。迅速に対応すべき感染症対策の手だてが全く取られていなかった」と批判。「米側には猛省を求め、日本側と同様の対応を取るよう強く求めていくべきだ」と強調した。