昨年末に新刊を出した。「自慢話でも武勇伝でもない『一般男性』の話から見えた生きづらさと男らしさのこと」(扶桑社)という長いタイトルのこの本は、世間的に“普通の男”とみなされる、ヘテロセクシュアル(異性愛者)でシスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と性自認が一致)の男性10人から身の上話をうかがったインタビュー集だ。20代から40代、営業マンや編集者、医療職に大学生など世代も属性も様々だが、「会社や学校に属していて心身ともに概ね健康で…」というイメージに当てはまるマジョリティー男性たちの自分語りを収録した一冊となっている。

 この企画は元々、新潮社の電子文芸誌「yom yom」で連載されていたもので、当時は「一般男性とよばれた男」というタイトルがついていた。しかし書籍化するにあたり、それだとどんな内容の本なのかイメージしづらいという意見が出た。確かに出てくるのは有名人でも専門家でもない男性たちであり、メディア受けしそうな特徴があるわけではない。それに、語られるのも特殊な体験談や波瀾万丈の人生録などではなく、コンプレックスや過去のトラウマ、仕事の悩みや人間関係のいざこざなど個人的なエピソードばかりで、わかりやすい“映え”もない。

 大抵の男性は自分の弱い部分とか情けない部分を積極的に語ろうとはしないし、...