新しい年が明けた。今年は、日本、そして世界はどのように変化していくのだろうか。予想できないことも多い中、できるだけ前向きに生きていたい。

 脳のさまざまな回路は楽観的でないとうまく働かないようになっている。不確実な状況は不安をもたらす一方で、希望を抱くきっかけにもなる。前頭葉を中心とする回路で、できるだけ積極的なものの見方、解釈を立ち上げていきたいものだ。

 脳をうまく働かせるためには、自分自身のことをきちんと認識する必要がある。個人としてもそうだけれども、日本という国のイメージもしっかりと探っていきたい。変わりゆく世界の中で「日本」をどうとらえていくか。現在から未来を見据えるためには、過去を振り返ることも大切である。

 このところ、しきりに思い出されることがある。1968年に日本人で初めてノーベル文学賞を受けた川端康成さんの『美しい日本の私』と、1994年に同賞を受けた大江健三郎さんの『あいまいな日本の私』の、二つの記念講演のタイトルがなぜか気にかかるのである。...