[福島 沖縄 国策と慰霊](3)

 東京電力の社長に尋ねたいことがあった。2017年10月、東電本社。木村紀夫さん(56)は、自身も取材を受けたドキュメンタリー映画の上映会に参加した。

 たまたま前日、柏崎刈羽原発が再稼働に向けて一歩進んだ。東電が営業エリアの外である新潟県に建てた原発で、福島第1原発と同じだ。

 そうやって都会が地方に危険を押し付け、電力の恩恵だけを享受してきて、爆発事故が福島で起きた。木村さんは次女の汐凪(ゆうな)さんら家族3人の捜索を阻まれ、失った。

 監督を交えたトークの時間。木村さんは社長が見守る中、「企業として原発を動かすことはあり得るのかもしれないけれど、個人としてはどう思いますか」と問い掛けた。

 直接の返答はなかった。ただ、社長は最後のあいさつで、こんなことを言ったという。「電気をつくることは命を守ることです」...