新型コロナ沖縄の今

「オミクロンの怖さは『数』だ」 医師が見たデルタ株との違い “災害級”と表現する現状

2022年1月14日 08:57

[新型コロナ 沖縄の今]

友愛医療センター内に、11日に設けられた災害派遣医療チーム(DMAT)のスタッフ=12日、豊見城市(友愛会提供)

 新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、感染や濃厚接触で欠勤している医療従事者は県内で千人に迫る。人手が不足するのに、コロナの入院患者は増え続ける。友愛医療センター(378床、豊見城市)は、現場の状況を「災害級」と表現する。手術の延期など一般診療への影響も出ており「医療崩壊」への懸念を強める。医療現場は今どうなっているのか。コロナ対応に当たる担当医師に聞いた。

■緊急医療チーム発足

 センターでも感染や濃厚接触で、医師や看護師が多数、欠勤している。具体的な人数は公表していない。

 欠勤は病院全体に及び、6日から紹介患者の診療や手術の一部を延期せざるを得なくなった。救急も軽度な患者は受け入れを一時的に止めている。

 新型コロナ対策チームのリーダー・西平守邦医師(40)は現状を「災害級」と判断。病院は11日、災害派遣医療チーム(DMAT)を発足させた。限られた数の医師や看護師を効率的に配置する能力にたけた人員を集め、苦境を乗り切る態勢を敷いた。

■社会が機能不全に陥らないために

 ただ、欠勤が慢性化すると対症療法にも限界が来る。西平医師は濃厚接触者の定義や、就業制限を見直すべきだと主張。14日間の行動自粛期間を短くするなどし「社会が機能不全に陥らない新たな運用が必須だ」と感じている。

 国は無症状の医療従事者は、毎日の仕事の前に抗原検査などで陰性を確認できれば働けるとしている。センターでも陰性確認をした上で、行動自粛から14日以内の職員が数人、働いている。

 ただ「抗原検査で陰性が出たからといって、本当に感染させないのか」と不安を感じるスタッフもいる。

 「緩和だけでなく、職場で安心して働けるようサポートする仕組み作りが必要だ」と感じている。

■入院患者の年齢層広がる

 「直下型の地震が起きたようだ」。新型コロナウイルスの影響で医療従事者の欠勤が相次ぐ、友愛医療センター(378床、豊見城市)。現場の医師は窮状を、こう表現する。「第6波」で主流のオミクロン株はデルタ株より症状が軽いとされるが、問題は感染力の高さ。感染者と濃厚接触者が増え続ければ欠勤が慢性化し、社会の機能をまひさせかねない。感染者の増加は、重症者が出るリスクも高める。病床不足も忍び寄ってきた。(社会部・山中由睦)

 センターの受け入れは、中等症のコロナ患者が中心だ。集中治療室などを除き、16あるコロナ病床のうち13が埋まり、病床の逼迫(ひっぱく)が進みつつある。数日前まで、入院患者は20代と80代で二極化していた。

 取材した12日時点では50~60代の患者も出てきており、患者の年齢層が広がっている。

 新型コロナ対策チームのリーダー・西平守邦医師(40)は、患者の症状は、デルタ株が中心だった「第5波」と大きく違うと分析している。 

■「油断はできない」と警戒を促す

 デルタ株の患者は、発症後1週間~10日がたって肺炎になることが多かった。「今回の入院患者は、発症後3~5日ほどで熱が下がっている」。入院患者は基礎疾患など重症化リスクを持つが、酸素投与が必要な患者は1人にとどまる。

 そのため、患者は10日間の入院期間を待たず、1週間ほどでホテル療養に移行している。デルタ株に比べて、入退院の回転率は上がっているという。

 しかし、西平医師は「油断はできない」と警戒を促す。流行の中心と思われるオミクロン株は症状が軽いとされるが、感染の中心が若者から高齢者に移っていけば、重症者が増える可能性がある。

 感染力の高さが社会機能を止めるリスクも、欠勤の続出で顕在化している。

 「既に医療を含めた社会インフラが止まり始めている。オミクロン株の怖さは『数の暴力』だ」

(社会部・山中由睦)

●疑問・困りごと募集

 新型コロナウイルスの感染が広がり、くらしや経済、学校生活に影響が広がっています。読者の皆さんがいま困っていることを、ぜひお寄せください。沖縄タイムスは、県民の「疑問」や「困り事」などを共有する企画を始めています。

 受け付けは下記から特設サイトにアクセスするか、郵送で郵便番号900-8678、那覇市久茂地2の2の2「沖縄タイムス編集局社会部」まで。ファクスは098(860)3483。メールはshakai@okinawatimes.co.jp

 >>特設サイトはこちら


沖縄県内の「新型コロナ」これまでの記事一覧

連載・コラム
記事を検索
アクセスランキング
ニュース 解説・コラム
24時間 1週間
注目コンテンツ
あなたのナゼにココホル取材班
あなたのナゼにココホル取材班
読者が日頃感じている「ナゼ」を、沖縄タイムス記者が取材して解き明かします。情報をお寄せください。
ベジテーブルブログ
ベジテーブルブログ
野菜宅配サービス「ベジテーブル」。レシピ通りに作れば、おいしくて健康的な料理が短時間で手軽にできちゃいます。
電子パズル「数独」
電子パズル「数独」
毎週日曜日に新しい問題を出題します。有料会員向けサービス。ちょっとしたスキマ時間にスマホやパソコンで頭の体操してみませんか?
Tokyo沖縄めし
Tokyo沖縄めし
東京都を中心に首都圏にある沖縄料理店はおよそ600店。「ちむどんどん」する、心躍る沖縄の味を求めて、こだわりの店を紹介します。
データで捉えるウクライナ危機
データで捉えるウクライナ危機
データで捉えるウクライナ危機。購読は有料会員への登録が必要です。
解説 北朝鮮核・ミサイル設置情報
解説 北朝鮮核・ミサイル設置情報
解説 北朝鮮核・ミサイル設置情報。購読は有料会員への登録が必要です。
沖縄の高校野球 イニング速報
沖縄の高校野球 イニング速報
夏の甲子園への出場権を懸ける「第104回全国高等学校野球選手権沖縄大会」。沖縄タイムスで全試合をイニング速報します。
SDGs企画「未来へ#いのちを歌おう」
SDGs企画「未来へ#いのちを歌おう」
Kiroro玉城千春さんが沖縄県内の小・中学校を訪ねて、夢、命の尊さを届けます。
不器用トーク・アーカイブ
不器用トーク・アーカイブ
不器用トークのアーカイブページです。毎月1回、まさに今、現場で取材している記者たちが、それぞれのテーマについて熱く語ります。
命ぐすい 耳ぐすい
命ぐすい 耳ぐすい
沖縄県医師会の各分野の医師による医療・健康に関するコラム
胃心地いいね
胃心地いいね
沖縄タイムスの各市町村担当の記者が、地域で話題のお店や人気グルメを食べ歩きます。
NewsVideo
NewsVideo
ニュースをわかりやすく 新聞社の動画で比較
アクロス沖縄
アクロス沖縄
東京発 各分野で活躍する情熱県人らを紹介
ワールド通信員ネット
ワールド通信員ネット
世界各国の沖縄県系人の話題を中心に、海外通信員が各地のニュースをお届けします
マンガ家大城さとしが行く!沖縄のじょ~と~企業探訪
マンガ家大城さとしが行く!沖縄のじょ~と~企業探訪
おばあタイムスでおなじみのマンガ家・大城さとしさんが長編マンガで沖縄の企業を紹介するシリーズ企画です。
沖縄タイムスのイチオシ
「お悔やみ速報沖縄 しまダビ」登場
「お悔やみ速報沖縄 しまダビ」登場
お世話になった方との最後のお別れを大事にしたい・・・そんなあなたのアプリです。
沖縄こども未来プロジェクト
沖縄こども未来プロジェクト
企業や個人のサポーターの皆様から頂いた支援金で、子どもたちの夢を後押ししています。
沖縄タイムス社NIB講座実施のお申込みはこちら
沖縄タイムス社NIB講座実施のお申込みはこちら
新聞から得るジンブンはビジネスの最強ツール!新入社員研修やOFF-JTにNIB講座「新聞の読み方講座」はいかがですか?
那覇市久茂地にコワーキングオフィスhowlive誕生!
那覇市久茂地にコワーキングオフィスhowlive誕生!
howliveは沖縄タイムスが運営するシェアオフィス、コワーキングプレイス。抜群の立地と美しいデザイン、豊富な設備が特徴です。
「ライトプラン」スタート
「ライトプラン」スタート
得する人生、始めよう!有料記事100本が読み放題。記事閲覧“爆速”体感を。
新聞配達員募集
新聞配達員募集
お住いの地域周辺で、空いている時間を活用して働いてみませんか?
「この本を読みましょう」おすすめ図書
「この本を読みましょう」おすすめ図書
大手4出版社のおすすめ図書を紹介。県内書店でぜひ手に取ってみてください。
沖縄タイムス公式動画チャンネル
沖縄タイムス公式動画チャンネル
沖縄特有の動植物や、観光スポット、事件・事故、そして米軍基地問題まで、さまざまな情報を動画でお届けします。
おきなわ終活プラス
おきなわ終活プラス
いざという時の医療・介護、相続・贈与、葬儀、お墓のことなど、沖縄で送る「終活」ライフを応援します。
沖縄タイムスのクラウドファンディング「Link-U」のプロジェクト一覧
沖縄タイムスのクラウドファンディング「Link-U」のプロジェクト一覧
問題解決に向けた挑戦を沖縄タイムスの「広報力」で後押しするクラウドファンディングサービス。プロジェクト検索はこちらから。