沖縄県は15日、新たに10歳未満から90歳以上の1829人が新型コロナウイルスに感染し、過去最多を更新したと発表した。コロナ患者用の病床使用率は53・2%となり、警戒レベル判断指標の「レベル3(感染まん延期)」に入った。新型コロナ対策に関する県の専門家会議(座長・藤田次郎琉球大学大学院教授)は同日の会合で「まん延防止等重点措置」から「緊急事態宣言」への移行について話し合ったが、意見が分かれ「継続的な議論が必要」とした。
県内の療養者は1万2540人、そのうち自宅療養者は8090人でいずれも過去最多。入院中は338人で重症者はいないが、中等症が178人と増加、酸素投与が必要な「中等症2」は54人となった。
病床使用率が50%を超えるのは、昨年9月16日の53・5%(国指標)以来。県は各病院に635床の確保を要請しているが、15日の確保病床は475床。そのうち本島内は372床で、入院者は284人と使用率は8割に迫る。
新たに感染した1829人のうち、年代別では20代が最多で444人、次いで10代321人など。人口10万人当たりの新規感染者数は666・82人(14日時点)で全国最悪が続く。
県専門家会議では、県内の感染者の97%がオミクロン株に置き換わっていることや、コロナ感染や濃厚接触を理由に欠勤する医療従事者が県内90病院で1171人に上ったと示された。このうち21重点医療機関では709人が欠勤だった。
また高齢者施設と障がい者施設の計66カ所で入居者や職員の感染があり、そのうち高齢者施設51人、障がい者施設23人の計74人が施設内療養中と報告された。
米軍関係は282人で、所属は不明だった。
会議では、まん延防止よりも強い措置の必要性が議論された。委員からは「若者はインフルエンザ並みが多く、感染しても大丈夫だと誤解しないか心配。医療現場は厳しく、県民に警告するためにも緊急事態措置が必要」との意見が出た一方で、「医療従事者の負担はデルタ株の時とは違う。しばらくまん延防止を続けてもいい」との声もあり、結論は出なかった。
そのほか「基礎疾患を持つ患者の入院が増えた際、どう対処するか。すぐ緊急事態とは考えていないが懸念は多い」「飲食店の制限よりワクチン接種の推進を」などの意見も上がった。