[「振興」は今 再編交付金の下で](上)天仁屋区 かんがい施設整備

 太平洋を望む開けた小高い斜面にサトウキビやカボチャ畑が一面に広がる。名護市天仁屋区。人口100人余り、約70世帯が住むこの地は、古くからサトウキビを主作物に、雨水に頼った農業で暮らしてきた。

 「嘉陽のイノシシを追い掛けて北上してきた人々が、豊富できれいな水があるじゃないか、と住み始めたという口伝がある。300年ほど前かな」。父親の時代はサトウキビ振興の先進地だった大東島を視察したという比嘉政昭区長(54)が語る。

 雨水頼みの農業は収量が安定せず「カボチャだと、大事な肥大期の2週間の間に雨が少なければ、小さい実しか付かない。当然その年の収入はがた落ちね」。安定した収入を求めて若者たちは地元を飛び出し、サラリーマンとなっていく。...