南太平洋の島国トンガの近くで海底火山の大規模噴火が発生した。

 噴火の影響で潮位の上昇が見られ、気象庁は鹿児島県の奄美群島・トカラ列島などに津波警報を、沖縄を含む太平洋側を中心に津波注意報を出した。

 暗闇に鳴り響くサイレンに驚き、避難を呼び掛ける防災無線に緊張が走った。東日本大震災の津波の記憶がよみがえり、不安な一夜を過ごしたという人も多かった。

 日本から約8千キロ離れたトンガ沖の海底火山が噴火したのは15日午後1時ごろ。情報は多くないが、衛星画像には巨大な噴煙が上がる様子が映し出されている。20世紀最大の噴火とされるフィリピンのピナトゥボ山に次ぐ規模とみられている。

 当初、気象庁は「若干の海面変動が予想されるが、被害の心配はない」と発表していた。

 だが夜にかけて太平洋側で潮位上昇が相次ぎ、午後11時55分奄美市小湊で津波警報の基準を超える1・2メートルを観測した。

 結局、気象庁が津波警報と注意報を出したのは、16日午前0時15分。発令が遅れたのは、地震による通常の津波とは異なる「経験のない事例」だったからとされる。

 専門家の間には、噴火によって大気が振動する「空振」が関わっていたとの見方がある。

 想定外とはいえ、次に備えるにはメカニズムの解明が必要だ。

 気象庁には今回の対応の検証と予測精度の向上に努めてもらいたい。

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 全国8県で最大約22万9千人が避難指示の対象となった。

 高知県や徳島県では漁船が転覆したり流されたりする被害が相次いだ。沿岸部を走る鉄道の運休やフェリーの欠航、当日予定されていた大学入学共通テストを中止にする会場もあった。

 心配なのはトンガの状況が伝わってこないことだ。

 大規模噴火から3日目となった17日も、国際電話やインターネットは遮断されたままで、負傷者の有無を含めた被害の全容が把握できない状態が続いている。

 トンガの人口は約10万7千人。ラグビーが盛んで、日本代表を多く輩出している国でもある。

 火山灰により家屋が損傷し、飲料水の確保に大きな影響が出ているともいわれる。

 政府は情報を収集し、必要な支援に乗り出すべきだ。

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 折しも17日は阪神大震災から27年に当たり、各地で追悼行事が開かれた。あれから四半世紀以上がたち、新たな災害に備えた経験や教訓の継承が課題となっている。

 阪神大震災の後も東日本大震災に見舞われ、大型台風や集中豪雨などによる被害も頻発している。

 今回の津波では、未明の注意報に気付かなかったり、高台への避難で車が渋滞するといった混乱も一部であった。

 改めていざという時になすべきことを確認したい。大切なのは防災訓練への参加など日ごろからの備えである。