新聞労連は18日、平和・民主主義の確立や人権擁護などに貢献した記事を表彰する「第26回新聞労連ジャーナリズム大賞」の優秀賞に沖縄タイムスの連載「『防人(さきもり)』の肖像 自衛隊沖縄移駐50年」を選出したと発表した。

第26回新聞労連ジャーナリズム大賞で優秀賞を受賞した本紙連載「『防人』の肖像 自衛隊沖縄移駐50年」の紙面

 2021年1月に始まった連載は、1972年の沖縄の日本復帰に合わせて移駐した自衛隊と県民がどう向き合っているかをテーマにした。移駐当初を関係者の声で振り返る「対峙(たいじ)」、入隊者の増加などで肯定的な見方が増えた現在を見つめ直す「浸透の境界線」、南西地域の部隊配備を増強する自衛隊の狙いや地元の声を拾う「琉球弧の今」の全3部、40回。取材は銘苅一哲、堀川幸太郎、山城響、阿部岳、知念豊、粟国祥輔の6記者が担当した。

 大賞には毎日新聞の「特権を問う~日米地位協定60年」が選ばれた。14労組24作品の応募があった。表彰式は25日に東京の全水道会館で開かれる。

■「厚みのある取材」評価

共同通信と連携

 第26回新聞労連ジャーナリズム大賞で優秀賞を受賞した本紙連載「『防人(さきもり)』の肖像 自衛隊沖縄移駐50年」は、選考委員から「中国の脅威が強調されることが多い昨今、自衛隊をめぐる課題はもっと知られていい。沖縄で自衛隊がどう受け止められてきたかを、厚みのある取材によって描いた」と評価された。

 選考委は「『米軍基地のない島』の主張と表裏一体で『ではこの地域をどう守るか』という現実的な問題がある」と指摘。自衛隊に関連し阿部岳記者が共同通信との合同取材で陸自と米海兵隊が辺野古新基地への陸自「水陸機動団」の常駐を極秘に合意したことを明らかにした記事についても「組織を超えて連携する試みは、少数精鋭で現場を背負わねばならない新聞産業において未来志向のジャーナリズムの在り方を見せつけた」と評価した。

 その他の受賞は次の通り。

 【大賞】毎日新聞「特権を問う~日米地位協定60年」【優秀賞】信濃毎日新聞「五色(いつついろ)のメビウス ともにはたらき ともにいきる」【特別賞】北日本新聞「神の川 永遠に-イ病勝訴50年」、琉球新報「航空自衛隊那覇基地から流出した泡消火剤に有害物質が含まれていることを突き止めた一連の報道」、北海道新聞「『核のごみ』の最終処分場選定に向けた全国初の調査開始を巡る報道」【疋田桂一郎賞】共同通信の石川陽一さんの「長崎市の私立海星高いじめ自殺問題を巡る一連の報道」

■触れられぬ問題に挑戦

映画監督・ジャーナリスト三上智恵さん

 

 沖縄では自衛隊が違憲か合憲かの入り口で手足を縛られ議論が進まないまま、再び島が盾にされようとしている。連載「『防人』-」が自衛隊移駐の受け入れを担った「先遣隊」から始まったハレーションは大きかったと予想するが、そうでもしなければ沖縄の人々の考えも変わらないのではないか。

 自衛隊に同情したくなるような記事から入り、組織を容認する人を引きつけた上で、後半では本来指摘しようとしていたであろう「なぜ島が戦場になるの」という声を取り上げた。チャレンジングな取り組みだ。

 沖縄では日本復帰時に自衛隊に反対の声を上げる闘争の中心にマスコミ労協があり、報道で自衛隊についてあまり触れない状況が何十年と続いた。

 しかし、自衛隊に入った若者が米軍の駒(こま)になり島が戦場になろうとしている今、名護市辺野古や東村高江など米軍基地の問題と自衛隊は切り離して考えるものではなくなった。

 連載は、なぜ自衛隊を取材しないといけないのか、という沖縄メディアの価値観を変えた。拍手を送りたい。

連載[防人の肖像]