沖縄県糸満市西崎のSRKムエタイジムの中江優会長(44)が12月23日、市内にある出身の児童養護施設・袋中園に菓子を寄贈した。5歳から中学1年の在園当時、テレビで見た菓子への憧れがあり約100人に10箱余りをプレゼント。趣味で始めた競技でジムも開設し「頑張れば自立できるし夢を切り開くこともできる。自分の姿が子どもたちの道しるべになれば」と話す。(南部報道部・又吉健次)

SRKムエタイジムで受講生を指導する中江優さん(右)=14日、糸満市西崎

菓子を寄贈する中江優さん(左)と受け取る職員の大城勝志さん=12月23日、糸満市・袋中園(中江さん提供)

SRKムエタイジムで受講生を指導する中江優さん(右)=14日、糸満市西崎 菓子を寄贈する中江優さん(左)と受け取る職員の大城勝志さん=12月23日、糸満市・袋中園(中江さん提供)

 中江さんは家庭の事情で那覇市から袋中園に入所した。赤ちゃんや小中学生、障がい者ら100人ほどが在籍。学校帰りに「塾に行く」などと話す友達に「俺たちには行く所がない」と、うらやましかったと振り返る。

 学校の友人が話すお菓子にも興味津々だった。園の職員が作るくずもちやサーターアンダギーもおいしかったが、「テレビCMで見るお菓子はどんな味なんだろう」と想像を膨らませた。

 中学1年で県内の別の児童養護施設に移動。沖縄水産高校に進学したが、オートバイ事故をきっかけに中退した。県外で板前、新聞販売店従業員、鉄筋工をする中、28歳でムエタイの存在を知った。

 袋中園では「番長」だったが指導者のタイ人、そして受講生の日本人にもかなわない。気が強く「ダウンさせてやる」と週6日、毎日3時間通って上達。38歳で帰省し、小学生らを指導する中で2018年にジムを開いた。

 袋中園の在籍時、通いたくても習い事ができなかった経験から、園の子どもたちを無償で受け入れると施設側に説明し、現在は高校3年の男子1人が通う。菓子の寄贈も始め、3回目の12月には3、4万円を出費した。

 同園の櫻木典子事務局長は「差し入れはありがたい。卒園生が頑張っていることはうれしい」と語る。障がい児入所施設などもある同園は、中江さんの入所当時とは異なり、現在では受験生の中3や高3は塾に通うことができ、水泳や空手、卓球クラブで習い事をする生徒もいる。