[名護市長選 2022.1.23]

 【名護市長選取材班】23日に投開票される名護市長選を前に、沖縄タイムスは、立候補している新人で前名護市議の岸本洋平氏(49)=立民、共産、社民、社大、新しい風・にぬふぁぶし、れいわ新選組推薦=と、再選を目指す現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=による紙上クロス討論を実施した。両候補者から相手候補への質問を募り、回答を得た。辺野古の新基地建設や子育て支援策などについて主張を展開した。

(右)街頭で支持を訴える岸本洋平氏=19日、名護市宮里 (左)街頭で支持を訴える渡具知武豊氏=19日、名護市大西

渡具知氏から岸本氏へ 

Q 子育て無償化3事業継続の財源は

市有地活用などで実現

 

 -「子育て支援無償化3事業を継続」と言うが「保育料3・5億、医療費1・1億、給食費2・5億」の財源が明確ではない。岸本氏が示す基金設置、ふるさと納税、再生エネルギー等の説明だけでは無償化継続は難しい。計7・1億円のより詳細な財源を示してほしい。

 

 岸本氏 三つの無料化は市の一般会計予算約430億円の約1・5%で確実に実現できる。稲嶺進市政では2・7億円の独自予算で無料化の土台を築いた。内訳は保育料支援1・8億円、給食支援3800万円、子ども医療費約5千万円。新たに考えるべきは4億程度。広大な市有地の官民連携活用、基金設置、ふるさと納税、再生エネルギーで可能だ。

Q 役所に無駄はないとした。整合性は

予備費1億円多過ぎる

 

 -行財政改革で役所の無駄を省き「子育て支援無償化3事業」の予算にするとも述べているが、一方で名護市の監査委員(議会代表)として「役所に無駄はない」とお墨付きを与えている。役所のどの事業が無駄なのか、その整合性も含めて説明してほしい。

 

 岸本氏 本年度の予備費1億円は多過ぎる。コロナ禍で苦しむ市民のための予算に使うべきだ。これに代表されるように、現市政に市民感覚は全くない。美謝川の切り替えについては、市民の財産である市有地の上を通るが売買契約等を行っておらず市民の財産を勝手に国に使わせている。市民の財産に対して損害を与えている。

Q 新基地問題で司法の結論に従うか

世論喚起し工事止める

 

 -私は辺野古移設について、現在も国と県による係争が続いていることから、この係争が決着を見るまでは、これを見守るとの立場である。一方で、私も玉城デニー知事も議会で「司法で決まったことには従う」とも明言している。岸本氏は司法で結論が出た場合は従うのか。

 

 岸本氏 辺野古新基地建設を行っているのは「司法」ではなく現政権だ。政権が工事を止めれば止まる。日本国憲法に国民主権が記されているように国民の多数が声を上げれば辺野古は止まる。名護市民は県民投票で73%の反対の民意を示した。私は玉城知事と連携して民主的な取り組みによって辺野古新基地を止める。

岸本氏から渡具知氏へ 

Q 米軍クラスターへの対応が遅い

年末年始に対策を要請

 

 -米軍基地でクラスターが発生した昨年12月以降、沖縄県は基地からの外出禁止や米国等からの移動停止を繰り返し要請していたが、あなたが外出制限を要請したのは市中に感染が広がった後の年明けだ。現職市長としてあまりに遅過ぎる対応だったのではないか。

 

 渡具知氏 基地内の新型コロナ感染者の発生に伴い市民への影響を懸念し、昨年12月27日に外務省職員を本市にお呼びし、米軍での新型コロナ対策等について申し入れた。年末年始の市民の感染者増を受け、1月5日に外務省や防衛局に対し米軍の外出制限など強い措置の要請や北部への看護師優先派遣も県に要請した。

Q 新基地で態度示さないのは無責任

国と県の係争を見守る

 

 -就任から4年間、一貫して辺野古新基地問題について「推移を見守る」と市長としての態度表明を避け続けている。基地ができてしまえば、名護市民は米軍機の爆音と墜落、事件事故に苦しめられることになる。市民の命と安全を守る市長として無責任ではないか。

 

 渡具知氏 辺野古新基地事業は、国と県が係争中であり、この決着まで見守るより他ないとの立場であるため基地ができる前提の質問に回答する立場にないが、米軍の事件事故は絶対にあってはならず、知事の承認を得た辺野古新基地事業は、承認内容に沿って事業者が生活環境や安全性等に配慮することは当然だと認識している。

Q 再編交付金頼りは一時的で不安定

国と交渉し新財源確保

 

 -米軍再編交付金は基地が完成すれば打ち切られる。一時的で不安定な財源に頼るのは責任ある対応ではない。渡具知市長は保育料の無料化を実績として強調しているが、市独自で無料化している年齢は何歳までのどのような世帯が対象か。必要な予算はいくらか。

 

 渡具知氏 再編交付金は有限ではあるが、私の2期目4年間は続くので、不安定との指摘は当たらない。交付金の期限までに国等と交渉し新たな財源を必ず確保する。保育料無償化の質問の意図が不明だが、認可保育施設、市内認可外保育施設の入所児童で、課税世帯の0~2歳の利用料と3歳以上の食材料費が対象。年間約3・5億円必要。