待たれた作家の、9年ぶりの新刊だ。設定の異なる三つの中短編に君臨するのは、はるか昔から人間の想像力を刺激してきた、月。  温かい家庭を築き、社会的にも成功した大学教授の人生が一瞬にして反転する「そして月がふりかえる」、叔母が残した石に執着を持つ女性が、石が見せる夢に現実を侵食される「月景石」。