政府の基幹統計の一つ「建設工事受注動態統計調査」の書き換え問題で、国土交通省幹部ら10人が処分された。

 長年にわたるデータの不適切な扱いには不明な点が残る。再発防止に向けた課題もある。処分で幕引きせず、問題の検証を続けてもらいたい。

 国交省は、毎月の提出期限を過ぎて過去の調査票が出された場合、最新月分として合算するよう、都道府県に書き換えさせていた。指示は遅くとも2000年には始まっていた。

 その後、国交省側が推計値を計上する処理に変更し、同一業者の受注に二重計上が生じた。

 国交省の第三者委員会が先週公表した報告書で浮かび上がったのは、事態を正す機会は幾度かあったにもかかわらず、事なかれ主義や問題の矮(わい)小(しょう)化によって隠(いん)蔽(ぺい)とも見える対応を重ねた組織の姿だ。

 報告書によると、厚生労働省の毎月勤労統計の不正を受けた19年の一斉調査では、統計室の担当係長が書き換え問題を総務省に報告するよう進言したが上司が取り合わなかった。

 同年6月にも課長補佐が書き換え中止を訴えたものの室長らは是正に動かなかった。

 11月に問題を指摘した会計検査院に対しては、合算はやむを得ない措置などと取り繕った。総務省統計委員会には別統計の推計方法見直しに便乗して報告するとした。

 報告書は「幹部職員に責任追及を回避したい意識があった」ことが原因だとした。ガバナンス不全は明らかだ。

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 政府の基幹統計は、行政の政策立案や学術研究などに利用される基礎資料で国民の財産だ。正確さが肝心なのは指摘するまでもない。

 統計を巡っては18年に厚労省の毎月勤労統計で不正が発覚し厳しい批判を浴びた。

 その時に再発防止対策の柱となったのが、統計担当から独立した「統計分析審査官」の新設だ。各省庁へ派遣されたが、機能していないことが今回の件で露呈した。

 政府の統計データへの信頼は大きく揺らいでいる。総務省は53の基幹統計を改めて点検する意向だ。今度こそうみを出し切らなければ信頼回復は遠い。

 第三者委の調査は約3週間と期間が短く限界がある。「大きな数字を公表する作為的な意図は認められない」と報告したが、書き換えが国内総生産(GDP)の算出に影響した可能性がある。実際はどうだったのか国会で解明すべきだ。

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 デジタル化が進み客観的データの重要性は増す一方だ。だが、統計行政は人員や予算削減の対象になりやすく重視されているとは言えない。

 報告書は、統計室の慢性的な業務過多や、職員が統計について十分な知識を持っていない点が問題の背景にあるとも指摘した。

 改善策として統計の専門家をアドバイザーに任命し、定期的に打ち合わせし相談する体制の構築を提案している。チェック機能の強化も欠かせない。抜本的な改革へ向けた議論を求めたい。