21日午前7時10分ごろ、那覇空港から南東740キロ付近の海上で、伊良部鮪船主組合(那覇市)所属のマグロはえ縄漁船「第二十八克丸」(19・89トン)が燃えているとの118番通報があった。乗船中の船長から「船が燃えており船体を放棄する」との連絡を受け、陸上にいた同漁船の機関長が通報した。
第11管区海上保安本部によると、沖縄県内在住で日本人の男性船長と、インドネシア人の乗組員7人の計8人全員が付近の貨物船に救助された。けが人はいない。
11管によると、同本部那覇航空基地所属の航空機が同日午前10時20分ごろ、現場付近に到着し、捜索を始めた。同10時56分、海上に浮かぶ救命いかだで、乗組員1人が航空機に向けて手を振っているのを確認。約2時間後、近くを航行し、11管が応援を要請していた日本の貨物船「MOONLIGHT DOLPHIN」が救命いかだにいた乗組員8人全員を救助した。
組合によると、第二十八克丸は昨年12月24日に那覇市の泊漁港を出港。同港に戻りながら漁をしていたという。8人は1月22日朝、貨物船から組合の漁船に移り、今後同港に帰港する予定。
「私の先輩が乗っていたかもしれない」
「助かって本当に良かった」。那覇から700キロ以上離れた太平洋上で21日に発生したマグロはえ縄漁船の火災。乗員8人全員が救助されたことを受けて、関係者は無事を喜び、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
第11管区海上保安本部が撮影した写真や動画には、船体が大きく揺れながら、激しい黒煙や太い火柱を立てる様子が残されている。乗組員らは、救命いかだに横付けされた貨物船の縄はしごや階段を上った後、オレンジ色の毛布にくるまり暖を取っていた。
県まぐろ漁業協会によると、火災があった船は1979年から使用され、これまでの定期検査などで異常はなかった。
別のマグロ漁船で働くインドネシア人のモハンマ・パワンさん(29)=那覇市=は「私の先輩が乗っていたかもしれない。全員無事で良かった」と胸をなで下ろした。