沖縄県出身の上地勝也氏(63)が代表を務め、米ロサンゼルスを中心に和食店18店舗を展開するKATSU-YAグループが、コロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)で飲食店の廃業や人員整理が相次ぐ中、経営再建策として賃上げを実施し、2020年は過去最高益を確保した。従業員の士気向上や、宅配メニュー強化で売り上げを伸ばした。上地氏は「従業員みんなで、前向きな戦略に取り組めた」とする。(編集委員・照屋剛志)

ラスベガスでのイベントでマグロの解体ショーを披露した上地勝也氏=2018年(提供)

KATSU-YAグループの上地勝也代表=17日、沖縄タイムス社

Katsu-yaグループのレストラン(同グループHPから)

ラスベガスでのイベントでマグロの解体ショーを披露した上地勝也氏=2018年(提供) KATSU-YAグループの上地勝也代表=17日、沖縄タイムス社 Katsu-yaグループのレストラン(同グループHPから)

 KATSU-YAグループは、すし店「KATSU-YA」と日本料理店「極(きわみ)」を米国内外に18店舗出店。ピーク時の売上高は100億円あった。そのうち15店舗はロサンゼルスで営業している。

 ロサンゼルスのあるカリフォルニア州では、新型コロナウイルス感染拡大が始まった20年3月からロックダウンを実施。飲食店は店内営業が停止となり、宅配と持ち帰りのみの対応となった。

 客足は途絶え、20年4月には同グループの運転資金が底を突きかけた。上地氏は「無借金経営を心掛け、キャッシュフローはゆとりを持たせていたが、かなり厳しい状況に追い込まれた」と振り返る。

 米政府の補助金が出たことで資金繰りは改善。上地氏は「私でもとても不安だった。従業員の不安はもっと大きいはず」と、およそ500人の全従業員の賃上げを決めた。時給15ドルのアルバイトには3ドル上乗せし、解雇もしないと宣言した。

 一方、メニューは売れ筋に絞って半分まで減らし、調理時間と仕入れの費用を省くなどのコスト削減を徹底。ロサンゼルスで流行していたデリバリーアプリにも複数登録し、宅配と持ち帰りのプロモーションにも力を入れた。

 デリバリーアプリでは、同店のすしが人気を集め、アプリ運営会社がテレビCMまで放映。コロナ禍でも3時間待ちになることもあるほどの盛況という。

 20年の直営店10店舗の売上高は前年比11%増の34億円で、グループ全体の純利益は過去最高となった。21年の業績は、6月に飲食店の規制が緩和されたことで、堅調に推移しているという。

 上地氏は「賃上げ実施で、覚悟を決めたから、良い結果につながった。従業員と共にグループも成長していきたい」と話した。