「新たな基地は要らない」との訴えは市民に届かなかった。市議からくら替えし、初の市長選に挑んだ岸本洋平さん。「市民の安心安全な暮らしを守る」と辺野古の基地建設反対を前面に出し、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」感染拡大も米軍由来だと指摘。基地が存在するリスクを主張したが、現職の壁は破れなかった。「訴える力がなかった」。悔しさをにじませ、支持者の前で敗戦の弁を述べた。

敗戦の弁を述べる岸本洋平さん(中央)=23日午後10時20分、名護市宮里の選挙事務所(下地広也撮影)

 多くの人が固唾(かたず)をのんでテレビ画面を見つめる中、午後9時35分すぎ、速報で相手候補の当選確実が表示された。選挙事務所に集まった支持者からはため息が漏れ、中には天を仰ぐ人の姿も見られた。

 午後10時すぎ、静まり返った事務所で岸本さんはネクタイを締め直し、支持者に深々と頭を下げた。一呼吸置いてから「結果を重く受け止める。私の力不足」と声を絞り出した。

 選挙期間中は現職にリードを許し、厳しい戦いを強いられた。それでも終盤まで諦めず、辺野古の新基地建設反対を掲げて支持を訴えてきた。岸本さんは「子育て支援、まちづくりなど、市民にしっかり説明ができていたのか」と敗因を分析。一方で、新基地建設については「民意は反対だったと受け止めている」と言い切った。

 1998年と2002年に同市長選で当選した故岸本建男さんの長男。街頭に立って、支持を呼び掛けた母能子さんも「残念。選ばれた人は責任を持ってほしい」と言葉少なだ。

 新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力も支援した。故・翁長雄志前知事の妻樹子さんは「25年も戦えば市民は疲れる。だが相手は辺野古を受け入れると言って当選していない。これは辺野古についての民意ではないと、政府は自覚してほしい」とくぎを刺した。