【名護市長選取材班】辺野古新基地建設の是非や保育料無償化など、振興策の財源の在り方が争点となった名護市長選は23日、現職の渡具知武豊さん(60)が相手候補に5千票以上の差をつけ再選を果たした。再編交付金を原資とした保育料、学校給食費、高校生までの医療費「無償化3点セット」の実績が高く評価された。新基地建設反対を訴えた前市議で新人の岸本洋平さん(49)は、埋め立て工事が進む現実を前に支持が浸透しなかった。

当確を決め、家族から花束を贈呈される渡具知武豊さん(右)=23日午後10時12分、名護市宮里の選挙事務所(金城健太撮影)

 午後10時7分、当選確実が報じられると、渡具知さんは緊張していた表情を緩め、小さくうなずいた。詰め掛けた支持者たちは「イエーイ」と喜びを爆発させた。“武豊コール”が響く中、渡具知さんは一緒に戦った妻由利子さん(55)、次女志織さん(22)とがっちり握手。マイクを向けられると「大変うれしい」と目を赤らめ「選挙戦後半からは、子どもを連れた父母から激励があった。子育て支援が評価された」と1期4年の市政運営に自信をのぞかせた。

 「喉に掛かったとげも取れました」。末松文信選対本部長が満面の笑みで発声すると、支持者と共に万歳三唱し「よくやった」「頑張れ」と激励が飛び交った。渡具知さんは支持者に向けて「多くの励ましがあったから頑張れた。一つ一つの公約を実現することに尽きる」と感謝と決意を述べた。

 自民党の茂木敏充幹事長ともオンラインでつなぎ「党の方でもバックアップしてほしい」と要望。支持者の声援をくぐり抜けると、足早に選挙事務所を後にして地域へのあいさつ回りに向かった。

 渡具知さんの後ろに座り、開票速報を見守った次女の志織さんは「投票率が下がって若い人の動向が気になったけど、手応え通りの結果で安心した」。選挙戦は父親に付きっきりで手振りし、序盤から確かな手応えを感じていた。相手候補に約3500票差をつけて初当選した前回より「勢いは間違いなくあった」と振り返った。

 再編交付金でかんがい用水整備事業が進む市天仁屋の比嘉政昭区長は選挙戦の応援に入り、事務所で当確を見届けた。「とにかくうれしい。かんがい用水整備をはじめ、東海岸全体の発展に努めてほしい」と2期目に期待した。

 渡具知 武豊氏(とぐち・たけとよ)1961年8月12日生まれ。名護市許田出身。第一経済大(現・日本経済大)卒。保険代理店経営を経て98年に名護市議に初当選し、連続5期。自民系会派「礎之会」会長も務めた。2018年の市長選で初当選し、1期目。