沖縄県中城村の荷川取舞さん(27)は、小学生の頃から爪をかんでいたせいで深爪だ。「両親が共働きで、何となく寂しかったからかな」。荷川取さんはジェルタイプのネイルをすることでかみ癖を卒業。指先のコンプレックスをなくすお手伝いができればとネイリストになって1年3カ月、新たに「ハジチネイル」を始めた。琉球王国時代に女性が指や手の甲に施していた入れ墨(ハジチ)を、ネイルのデザインに取り入れた。「ハジチは当時の女性の憧れ。入れることで自信に直結したと思います。そう考えると少し、ネイルに似てませんか」(中部報道部・平島夏実)

「ハジチネイル」を始めた荷川取舞さん=12日、中城村久場の自宅サロン「Nail Oli.」

「ハジチネイル」のメニュー化を勧めた比嘉薫さん

ハジチネイルのイメージ(ネイル予約サイト「Nailie(ネイリー)」から)

「ハジチネイル」を始めた荷川取舞さん=12日、中城村久場の自宅サロン「Nail Oli.」 「ハジチネイル」のメニュー化を勧めた比嘉薫さん ハジチネイルのイメージ(ネイル予約サイト「Nailie(ネイリー)」から)

 荷川取さんは昨年の秋、同じ中城村の比嘉薫さん(41)と中城モール横の海岸で待ち合わせた。荷川取さんのネイルサロンを知って連絡を取った比嘉さんは、「ハジチネイル」のメニュー化を提案。ハジチの画像をネイリストに見せ、見よう見まねで爪に描いてもらったことがあるという。「ハジチはすごく大事にされていた文化なのに明治時代に法律で禁止されて、今では忘れ去られそう。切ないです。少しでも残したい」

 比嘉さんから「すごい熱量」を感じた荷川取さんは、資料を受け取り、休日には図書館を巡ってハジチについて調べた。奄美、沖縄本島、宮古、石垣など、地域によって模様が違うこと。士族から農民まで広まっていたが、1990年代にはほぼ見られなくなったこと。成人や婚姻の証し、厄よけ、あの世に行くためなどの意味が込められ、遺体に施した例もあったこと。そして、矢尻、貝、五つ星などいろいろな模様のうち、今も意味が分からないままのものがあること-。

 荷川取さんは「意味を聞きたくても、ハジチをしているご存命の方がもういない。文化が消えてしまった」と実感したという。

 ハジチをネイルとして現代風に創り変えて良いのか迷ったが、「悲しい過去があるからこそ残したい。うちなーぐちと同じ」と考え直した。

 「私のひいおばあちゃんはハジチをしてなかったけれど、もっと前のおばあちゃんたちに『残してくれてありがとう』って言ってもらえたらうれしいです」

 ハジチネイルは税込み5990円から。

 問い合わせはネイル予約サイト「Nailie(ネイリー)」。