[沖縄 稼ぐ力 生産性向上の現場](1)マギー

全国のスーパーから集まる購買データを分析する金城久実子さん(右)らデータアナリストの女性=豊見城市のマギー本社

 「学歴は問わない。雇用を創出し、所得を向上させ、貧困家庭を減らしたい」。昨年11月、県母子寡婦福祉連合会が那覇市で開いたシングルマザー向け「データアナリスト育成講座」の説明会。全国の流通・小売業のビッグデータを扱い、今回の講座で連携するマギー(豊見城市)の山川朝賢社長(64)は、参加者にこう呼び掛けた。

■消費行動を「見える化」

 地元の高校生を採用し、徹底した人材育成で、世界トップクラスのビッグデータ解析会社に成長したインドのミューシグマ社を参考に事業拡大に奔走してきた。

 オリオンECO美らSUNビーチ近くの本社には、提携している約5千店舗から毎日約500万人分もの膨大なレシートデータが集まる。

 強みは、売り場全体の需要動向を把握できる独自システム「i-code」。生鮮品は店によって商品コードが異なり、全国の販売動向を把握しにくかった。そこに目を付けた山川社長は3年がかりで統一コードを開発し、データの一元化に成功した。

 膨大なデータを分析するのは、同社傘下のアイディーズに所属するデータアナリストたち。季節や行事、土地柄も考慮しながら「いかに売るか」を店舗目線で提案する。

 5人の女性チームを束ねる金城久実子さん(55)は「舞台は全国。やりがいがある」と話す。これまで転職を繰り返してきたが、5社目のこの会社には13年在籍している。

 マギーの扱うデータは今後も増える見込みだ。山川社長は消費者のポイントカード情報と購買データをひも付けた「ID-POS」も開発し、より消費行動を「見える化」。これにより、消費者一人一人に合った商品提案も可能になった。アマゾンなど巨大ネット企業が展開する「パーソナルマーケティング」を、実店舗をベースに実現した。

 「打倒アマゾン」。金城さんは真顔でそう言い切る。ネット通販が台頭し、実店舗が苦戦を強いられる時代。新システムは全国の小売店の引き合いが強まり、3月までに全国千店舗の導入を見込む。

 「日本唯一のビジネスモデル。5年後には売上高111億円を計画している」。山川社長が成長の先に見据えるのは、沖縄の積年の課題である県民所得の向上、そして子どもの貧困問題の解消だ。35歳の時に出会った京セラ会長の稲盛和夫氏から「利他の心」を持つ大切さを学んだ。

 データアナリスト育成講座では400人の育成を目指す。「人材をきちんと育てて稼ぐ力を付けさせていく。そのために価格を先導するプライスリーダーにならなければ」。豊かな沖縄を思い描く山川社長の挑戦は続く。(政経部・島袋晋作)

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 今年、沖縄は日本復帰50年を迎える。この間、県経済は大きく発展したが、全国と比べ1人当たり県民所得は低く、子どもの相対的貧困率も高い。そんな中、人材育成、経営の効率化などで生産性を上げ、成長する企業もある。各社の取り組みから「稼ぐ力」を高めるヒントを探る。