静かな夜を過ごしたい-。そんなささやかな住民の訴えが40年も放置されている。

 爆音の発生源は米軍基地、その米軍に基地提供しているのは日本政府で、放置している責任の所在は明確になっているにもかかわらずである。

 米軍嘉手納基地周辺に住む住民3万5566人が28日、米軍機の深夜・早朝の飛行差し止めなどを国に求める第4次訴訟を提起する。原告数は過去最大となる。

 1982年に1次訴訟が提起され、2次、3次にわたり、損害賠償は認められてきたが、原告が強く望む飛行差し止めは退けている。米軍機には日本政府の指揮や命令権が及ばないとする「第三者行為論」によってだ。

 爆音による睡眠妨害や心理的、精神的苦痛、血圧上昇など健康被害については認めるものの、差し止めには踏み込まないという矛盾が続く。救済を求める住民に、司法が解決策を示さないのは「人権の砦(とりで)」としての役割を果たしていないに等しい。 

 4次の原告は、運動会や入学式、地域の行事などの中断、子どもたちの成長への悪影響のほか、有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)などの流出事故による土壌、水源汚染の被害も訴える。

 外来機も頻繁に飛来しており、「騒々しい工場内」に相当する90デシベル以上の騒音も度々発生している。住宅地に近い元駐機場の使用によるエンジン調整音や悪臭の発生など被害は増すばかりだ。

 憲法が保障する平和的生存権がこれ以上、侵害されることがあってはならない。

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 国の責任も大きく問われる。

 司法は、70年代に騒音が社会問題となって以降、国は十分な騒音対策をしていないと指摘してきた。

 96年には日米で騒音防止協定が締結された。午後10時~翌午前6時の飛行について「米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限される」と規定するが、米軍が運用上必要と考えれば制限されないということになる。抜け穴だらけで実効性はない。

 騒音の違法性は認められており、国は米軍に協定を確実に順守させるべきだ。

 4次訴訟の弁護団は、今回の民事訴訟とは別に、今後国に対し、飛行を差し止める地位にあることを確認するなどの新たな行政訴訟も提起する。騒音被害を放置してきた国の不作為に対し、飛行制限や騒音を発生させない義務付けなども求めていく。

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 「爆音ではなく、虫の声が響く静かな生活がしたい」

 第4次原告団準備会の新川秀清会長は、3次訴訟の口頭弁論で、当時高校生が訴えた言葉が忘れられないと言う。

 40年たってもささやかな訴えが届かない現状に「子どもたちに当たり前の生活ができる沖縄を残さないといけないという気持ち」と話す。

 米軍と自衛隊の共同訓練が増す中、沖縄の「要塞(ようさい)化」を懸念する。このままでは平和の島にならない-。

 40年にわたる住民らの切なる訴えに司法も国も向き合うべきだ。