デジタル社会に対応した不正防止策が必要だ。

 大学入学共通テストの試験中に世界史の出題内容が流出した。19歳の女子大学生が関与を認め、警察に出頭した。

 任意の事情聴取などでこれまでに分かっている手口はこうだ。

 女子大学生は試験中、スマートフォンを上着の袖に隠し、動画で問題を撮影。数十枚の静止画に編集して、家庭教師紹介サイトで知り合った東大生2人にインターネット電話アプリを使って送信し、解答を送らせた。

 自身を女子高生と偽り、体験授業として「完璧な解答をしてほしい」などと依頼していた。東大生の1人が共通テストの問題だと気付き、文部科学省などに連絡して、明るみに出た。

 事実だとすれば、あってはならない不正だ。

 昨年12月の段階で、家庭教師紹介サイトに「カンニング目的で登録した」といい、周到に準備していたとみられる。

 女子大学生は別の大学を目指して受験したが、「成績が上がらず魔が差した」と話しているという。自身の実力不足を不正な方法で取り繕おうとしたなら卑劣だ。

 大学入学共通テストは国公立、私立大が共同で実施し、大学入学志望者の高校までの基礎学習の達成度を判定する試験だ。受験者が公平公正に自分の力を発揮できる場として保障されなければならない。

 文科省には今回の問題の全容を解明した上で、入試の公平性を守るため、不正防止に取り組んでほしい。

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 電子機器を使って外部と通信してカンニングする-。デジタル社会の盲点と言っていい。

 2011年、京都大の入試で男子予備校生が、携帯電話を使ってネットの質問サイトに試験問題を投稿する事件が起き、社会を驚かせた。

 事件後、試験前には電子機器をいったん机の上に出し、電源を切ってから片付けるよう対策が強化されたが、再び今回のような問題が起きてしまった。

 カメラ付きの腕時計やメガネなど、体に身につけるタイプの端末も登場し、不正発見はより難しくなっている。

 物心ついた頃からスマホに親しんできた「デジタルネーティブ」世代は、使いこなすのにもたけている。

 携帯電話などの電波を遮断する装置を設置する方法もあるが、共通テストの会場は全国600カ所を超え、コスト面からも、簡単ではない。

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 国公立大の2次試験のほか、高校や中学の入試もあり、受験シーズンはこれからが本番だ。

 再び同じ問題が起こらないよう、電子通信機器のチェックを徹底するなど、各試験会場では不正行為防止策を講じてほしい。

 その上で、デジタル社会に対応した新たな対策が求められる。

 電子通信機器は日進月歩で進化している。情報技術に詳しい有識者らを交えた議論が必要だ。文科省や大学を中心に知恵を絞ってほしい。