[見つめて ヤングケアラー]
沖縄県は10日、県内の小中高校の学級担任を対象にしたヤングケアラー実態調査の結果を発表した。大人に代わって家族の世話や家事を担うヤングケアラーと思われる児童生徒は全体の0・86%に当たる計1088人で、このうち48・1%に当たる523人は実際に学校生活に影響が出ている。県による調査は初めて。来年度には児童生徒を対象にした大規模な調査も予定している。(編集委員・鈴木実)
小学校5年から高校3年までの学級担任を対象に、昨年11~12月にインターネットで調査した。有効回答は3082件で、回答率は70・4%。
「担任する学級にヤングケアラーと思われる子がいるか」との設問では、「現在いる」が22・2%、「現在はいないが過去にいた」が17・7%で、合わせて4割を占めた。「いない」は43・5%、「把握していない」は16・5%だった。
ヤングケアラーと思われる子が置かれている状況では、「家族の代わりに幼いきょうだいの世話をしている」が43・6%で最多。次いで「障がいや病気のある家族に代わり家事をしている」が13・8%だった。
学校生活への影響では、「学校を休みがち」が20・2%で最も多く、「精神的な不安定さがある」が15・0%、「遅刻や早退が多い」「学力が低下している」がともに13・2%だった。
ヤングケアラーの概念を「知っている」学級担任は71・8%を占めた。「聞いたことはあるが具体的には知らない」は16・6%、「初めて知った」は11・6%。
要保護児童の支援のために市町村が設置する要保護児童対策地域協議会については、「名前は知っているが活動内容は知らない」「知らない」が合わせて74・1%だった。
県は「スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、学級担任が情報共有するとともに、児童相談所など関係機関と日常的に連携することが必要」と課題を挙げている。
実態調査を踏まえ、県は支援が必要な家庭を訪問したり、関係機関につないだりすることを検討している。