「新書」とは、本のサイズのことである。細長い大きめの手帳くらいで、書店には大手出版社独自の新書シリーズが並んでいる。数年前は、新書ブームとも言われベストセラーが続いた。『バカの壁』『女性の品格』『聞く力』など、耳覚えがあるだろう。最近は手軽に様々(さまざま)な知識を、分かりやすく、読みやすく得る内容が流行(はや)りのようだ。

 かつて「おきなわ文庫」(ひるぎ社)という沖縄を代表する新書シリーズがあり、ほのかに憧れていた。というわけで、ボーダーインクにも「ボーダー新書」がある。〈新しい沖縄との出会いがある〉というコンセプトで、2009年から始めたこのシリーズ、ぼくは幾つかの書き下ろし企画を準備した。そのひとつが『壺屋焼入門』である。

 原稿を依頼したのは、那覇市壺屋博物館学芸員だった倉成多郎さん。面識はなかったのだが、博物館の特別展「壺屋焼 近代のあゆみ」の図録解説を読んで、分かりやすく読みやすく書いていただける気がしたのだ。新書といえば入門書だ、という思いこみのもとに、ありそうでなかった手軽な沖縄の焼き物の入門書をぜひと頼んで5年後、産みの苦しみをたっぷり味わって刊行された。

 壺屋焼がたどってきた波瀾(はらん)万丈な歴史はもちろん、その独自性や陶工たちとその作品の紹介、さらにやちむんの里・壺屋のまちガイドも含めた、待望の1冊。出版記念イベントで著者の講演のあとに、本書を片手に壺屋焼ゆかりの場所を巡ってまち歩きしたのは、楽しい思い出である。壺屋焼はあくまでも暮らしの中で使ってこそ価値がある。しかし歴史を識ると、あらためて楽しみ方が増える。

 ちなみに、ボーダー新書のカバーで使っているゴーヤー柄デザインは、沖縄でオリジナルのTシャツなどを制作販売している「琉球ぴらす」作である。(新城和博・ボーダーインク編集者)

◇壺屋焼入門(ボーダーインク・1080円)