「絵本を楽しみながら島尻の方言について学んでほしい」-。沖縄県宮古島市平良島尻にある「合同会社島頭(すまず)」の邊土名清志代表(55)らが手掛けた“方言絵本”「ぱーんとぅ」がこのほど完成した。「パーントゥプナハ」は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された同集落の伝統祭祀(さいし)。邊土名さんは「先人から継承してきた集落の大切な神事。本来の意味について知ってほしい」と語った。

方言絵本「ぱーんとぅ」

方言絵本「ぱーんとぅ」を制作した(左から)山内良介さん、邊土名清志さん、花城周作さん、長崎大作さん=20日、宮古島市平良島尻

方言絵本「ぱーんとぅ」 方言絵本「ぱーんとぅ」を制作した(左から)山内良介さん、邊土名清志さん、花城周作さん、長崎大作さん=20日、宮古島市平良島尻

■目標を上回る330万円

 絵本を制作したのは同社を立ち上げた島尻集落の30~50代の男性12人。制作費として250万円ほどが必要となり、昨年2月から「島尻パーントゥ地域おこしプロジェクト」と銘打ってクラウドファンディングを開始。動画投稿サイト「ユーチューブ」で動画を配信するなど資金調達に取り組み、113の個人や団体から目標を大きく上回る330万5千円が寄せられた。

 パーントゥは仮面をかぶり全身につる草と泥をまとって集落に現れる3体の来訪神が、集落を行き交う人々に泥を塗って厄払いをする祭祀。一方で興味本位で訪れ、泥を塗られたとクレームをつける人も後を絶たない状況だったという。

 「パーントゥプナハ」の本来の意味や島尻方言を次世代へ継承しようと絵本作成を企画した。祭祀行事の由来を分かりやすく物語に仕立てて方言で表記し、標準語も併記した。絵本の原画は邊土名さんが描き、邊土名さんのおいで、デザイナーのへんとなけいたさんが仕上げた。

■絵本で理解を深めて

 邊土名さんは、絵本制作に協力してくれた多くの人に感謝し「本来のパーントゥについて理解を深めてパーントゥを見に来てほしい。地元の子どもたちには島尻方言を学んでほしい」と期待を寄せた。

 花城周作さん(46)は「絵本を読み、ユーチューブの動画でも見て、聞いて、方言を身近なものにしてほしい」、長崎大作さん(40)は「集落の人口減少で文化継承は難しいものがある。絵本を契機に継承が図られれば」と話した。

 山内良介さん(31)は「自分も方言を分からないので絵本やユーチューブで学びたい」と意欲を見せた。方言絵本「ぱーんとぅ」は1冊1650円(税込み)で初版は千部発行。うち100部は市内の公立保育所と幼稚園、小学校へ贈呈した。