大人に代わり、病気や障がいのある家族の世話などを担うヤングケアラー。県が県内小中高校の学級担任を対象に実施し、2月に発表した実態調査で、把握しにくい存在とされる子どもたちの一端が、教員の目を通して浮かび上がった。調査結果をどう受け止めるのか。沖縄県教職員組合(沖教組)の関係者とヤングケラーの経験者に聞いた。(学芸部・嘉数よしの、新垣綾子)
〈調査は、小学5年から高校3年までの学級担任を対象に、インターネットで実施。ヤングケアラーと思われる児童生徒は全体の0・86%に当たる計1088人だった〉
沖教組の下里文子副委員長は「子どもはケアの実情をなかなか口にしない。実際はもっと多いのでは」と実感を込める。
〈ヤングケアラーと思われる子どもの状況(複数回答)で最も多かったのは「家族の代わりに幼いきょうだいの世話をしている」で43・6%。「障がいや病気のある家族に代わり家事をしている」が13・8%で「目を離せない家族の見守りや声掛け」「家計を支えるためにアルバイトをしている」がともに7%だった〉
下里さんが勤めていた中学校にも、ヤングケアラーの生徒がいた。「下のきょうだいを保育園に連れて行くため」と遅刻が常態化。学校側はひとり親の母親と子どもたちの見守りを民生委員らに頼んだが、生徒は卒業まで安定して登校できず、高校にも進学しなかったという。...
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