[We ACT アクト 3・8国際女性デー]女性たちに聞く(4)島尻真理子さん 日本女性初のハンドボール国際審判員

島尻真理子さん

日本ハンドボールリーグ男子の試合をジャッジする島尻真理子さん=2019年8月、県立武道館

當山学記者

島尻真理子さん 日本ハンドボールリーグ男子の試合をジャッジする島尻真理子さん=2019年8月、県立武道館 當山学記者

 ハンドボールのレフェリー島尻真理子さん(40)=宮古島市出身、昭薬付高-琉球大-日本女子体育大大学院出=は2012年、ペアを組む太田智子さん(福井県出身)とともに、国内で女性初の国際ハンドボール連盟(IHF)認定の国際審判員になった。相棒の太田さんが19年に一線を退いたため、自身も国際大会の機会がなくなった。現在は国立沖縄工業高等専門学校で体育の教師や部の顧問をしながら、別のペアで国内最高峰の日本リーグなどで男女の試合をさばいている。

初の国際審判員に

 -どのような経緯で審判になったのですか。

 「現役時代はゴールキーパーでした。大学2年だった01年、勉強がてら(各都道府県大会を担当できる)D級を取得しました。10年、縁あって協会のレフェリーアカデミー受講の声が掛かり、11年にアジアハンドボール連盟(AHF)、12年にはIHFの資格を取りました」

 -国内で初の国際審判員になりました。

 「審判は2人一組で、IHFから日本に割り当てられている国際審判員は3組あります。うち1組は女性枠というアドバンテージがありました。この先につなげるための最初の一歩と考え、私たちが、道を切り開いていくという思いがありました」

 -ペアは解消しましたが本年度まで国際審判員として登録されています。別のペアでもう一度、世界を目指しますか。

 「できるとは思いますけど、それだったら後輩に譲った方がいいですね」

 -日本協会に登録されている審判員は21年12月現在で2905人。うち女性は16・5%の478人しかいません。男子の試合を担当することもありますよね。

 「男子の試合を担当し始めた時、女性の私にはハードでラフに見えたプレーで、笛を吹いたら、選手から『えっ』という反応をされました。その時は経験が少なく、自分の勉強不足だと受け止めました。今は選手もレフェリーにリスペクトを持って接してくれています」

 -日本リーグで14~15シーズンから19~20シーズンまでレフェリーの最優秀賞と優秀賞を3度ずつ獲得しました。審判として意識することは。

 「選手が練習してきたことを発揮できるよう導くことです。レフェリーは反則を取ることだけが仕事じゃない。難しいけど、反則を犯さないプレーを選手に促し、流れを大切にして、できるだけ少ない笛で、試合をさばけたらいいなあと思います」

 -国際大会を経験して感じたことは。

 「世界的にも女性の審判はまだまだ少ないです。私は独身だから海外に行けたと思います。男性も一緒ですが、選手だったら職場も『いいよ』と言ってくれますが、審判だとなかなか理解してもらえないのが現状ではないでしょうか」

 -審判をするには体力も必要ですね。

 「試合で走る運動量は選手の8割くらいです。いい位置で観察しなさいとよく言われるし、60分間体力が持たないと話になりません。国際大会では現地で事前にシャトルランと筆記のテストがあります。シャトルランは男性よりも基準は少し下がりますが、走れなければその大会で1試合も担当することなく帰されます。緊張感がある中でやっていました」

 -沖縄出身では他にも比嘉由紀乃さんと名嘉山加奈恵さんのA級審判員ペアがいますね。

 「一緒に底上げしていきたい。女性だからとかじゃなく、『島尻真理子だからこの試合を任せたい』と言ってもらえる審判になりたいです」

インタビューを終えて

 ハンドボールを間近で見ると、特に男子の速攻のスピードには驚かされます。島尻さんの「審判は選手の8割ぐらい走る」という話を聞き、改めて審判員の大変さを感じました。仕事を持ちながら、男子の運動量に付いていくための日頃のトレーニングや審判の勉強に励むバイタリティーに頭が下がります。県内でもハンドボールに限らず女性の審判が活躍しています。多くのスポーツでは体力差がある男女でカテゴリーが分かれていますが、審判や指導者こそ、男女関係なく活躍できる場だと思います。(運動部・當山学)

 しまじり・まりこ 1981年、宮古島市生まれ。ハンドボール審判員。琉大時代のD級を皮切りに2011年にアジア連盟、12年に国際連盟のライセンスを取得。15年に女子世界選手権で審判を務めるなど国際大会の経験多数。現在は国立沖縄工業高専の教員も務める。

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 3月8日は「国際女性デー」。女性の地位向上やジェンダー平等の実現に向け、各地でさまざまな取り組みが展開される。男性中心の職場で道を切り開いた人、困窮女性の支援に駆け回る人、ジェンダーの視点で沖縄美術を研究する人。県内の各界で活躍する女性たちを、沖縄タイムスの男性記者が訪ねた。