日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は9日、3月の沖縄県内経済概況を発表した。県内景気について「厳しい状況にある中、持ち直しの動きが弱まっている」とし、判断を据え置いた。1月の経済指標を判断ベースとしているため、新型コロナウイルス感染拡大に伴うまん延防止等重点措置の適用などで、観光やサービス消費を中心とした個人消費に下押しの圧力があった。先行きは「引き続き感染症の影響を受けるとみられる」とした。
個人消費で、百貨店・スーパー(全店舗)の販売額は前年同月比1・8%増だった。重点措置による外出自粛で、食料品を中心に堅調だった。
自動車登録台数は半導体不足で新車の供給遅れや、中古車不足が続く。家電は、巣ごもり需要が落ち着いている。外食関連への聞き取りでは、1月以降、売り上げが減少しているという。全体としては、サービス消費を中心に感染症の影響による下押し圧力が見られる。
観光の入域観光客数は56・0%増だった。19年比で見ると、12月まではマイナス幅が徐々に縮小していたが、1月は19年比70・2%減と、マイナス幅が再び拡大している。1月の主要ホテル稼働率は23・2%。2月の稼働率の速報値は22・0%だった。感染者数の増加や、重点措置の影響で低水準が続き、持ち直しの動きが弱まっている。
公共投資や設備投資、住宅投資なども判断は変わらない。
飯島支店長は「今後、感染症が和らいでいく中で持ち直すが、当面の動向に予断は許さない。全国では重点措置が継続しており、全国的に感染が落ち着かなければ、沖縄の景気も回復しない」と指摘。県内でも警戒感は強いとし「不確実性が高い。注視していく必要がある」と話した。(政経部・川野百合子)