株式会社USEN 執行役員 IT ソリューション事業部⾧ 伊藤 直嗣(いとう なおつぐ) 2001年 ㈱USEN 入社 2010年 ㈱USEN 中四国支社⾧に就任、その後 全国の支社⾧を歴任 2015年 ㈱USEN 店舗ソリューション事業推進部を創設、事業推進部⾧に就任 2017年 ㈱USEN IT ソリューション事業部を創設、事業部⾧に就任(現任) 2020年 ㈱USEN 執行役員に就任(現任)

 60年にわたり、店舗の音楽配信事業を手掛けてきたUSEN。近年、音楽配信以外に力を入れているのがレジ、キャッシュレス、通信までワンストップで店舗運営をサポートするITサービス「まるっと店舗DX」だ。コンセプトは「お店に夢中になる時間を、もっと。」。店内業務をデジタル化することで、人にしかできないことに時間をかけてもらいたい、という思いが込められている。同社は、那覇市久茂地のタイムスビル1階にCAFE&BAR 『U』をオープンする。「まるっと店舗DX」を実装した「リアルDX店舗」で、沖縄が第1号店となり、東京の人気イタリアン「KNOCK(ノック)」が監修したメニューが楽しめるのも特徴だ。店舗運営を通したDXの可能性や「リアル店舗」に期待することなどについて、同社の執行役員でITソリューション事業部長の伊藤直嗣氏に話を聞いた。

「まるっと店舗DX」とは

 われわれの「まるっと店舗DX」は「お店に夢中になる時間を、もっと。」をコンセプトに、店舗のさまざまな業務をデジタルに置き換えていくことを提供しています。

 

 たとえばキャッシュレス決済の「Uペイ」、POSレジとモバイルオーダーの「Uレジ」、店舗のオリジナルアプリの「UPLINK」、集客に向けたデジタルサイネージの「USIGN」、配膳ロボットなどです。「UAIR」は店内のWi-Fi環境構築、「UEYES」というクラウドカメラは防犯面だけなく、来店客の分析などをAIが行い、「UMUSIC」が属性に合わせた選曲を行いBGMを流すなどの機能があります。
 おそらくこれらのサービスを、それぞれやっているメーカーさんはいらっしゃいますが、これだけのものを一通り「まるっと」そろえているところは他にないのかなと思っています。

3つの特徴でお店をサポート

 「まるっと店舗DX」の特徴は大きく分けて3点あります。まず1点目は、先述したようにIT化できるソリューションサービスが一通りそろっていることです。
 一方、実際にお店をDX化しようとした時、DXサービスについてのリテラシーがそろっているお客さま(店舗経営者)はそんなに多くはありません。

 そのため、われわれは「オンボードする」と表現しているのですが、サービス導入後に、お客さまが使いこなせるようになるまでサポートに力を入れています。サービスを実際に使える状態にしていく、というのが2点目です。
 3点目は、運用と保守への対応です。例えばPOSレジで「タブレット端末の電源が入らない」、配膳ロボットなら「動かなくなってしまった」など、経年劣化や通信障害によるトラブルが発生します。こういったトラブルに駆け付け、保守や運営の対応に当たるエンジニアの部隊がいます。
 一つ一つデジタル商品を積み上げていくだけでなく、それを使える状態にサポートするメンバーがいて、その後に運用・保守を担うメンバーがいる。この3点があって初めてDXが実現できると考えています。おかげさまで解約率はわずか0・1%と抑えられており、それなりのコストはかかってでも、効果を実感していただいてるのかなとみています。

人にしかできないことを

 導入したお客さまからは「客単価が5%上がった」「7人必要だったホールスタッフが、5人で対応できるようになった」というような声をいただいています。なぜ売り上げが上がるのかというと、モバイルやタブレットのオーダーだと、店員さんを呼ぶ手間による「機会損失」が少なくなるからなんですね。
 また、われわれは店舗DXで単に人を減らすことを目指しているわけではありません。コンセプトの「お店に夢中になる時間を、もっと。」のように、来店客はもちろん、スタッフもお店に夢中になれる時間をつくってほしい。人を減らすことができたなら、その分メニューの工夫やサービスの向上などQSCA(=品質、サービス、衛生、雰囲気づくり)に時間を割いていただく。そのためのDXなんです。

リアル店舗1号店は沖縄

 

 今回、タイムスビル1階にオープンする「リアル店舗」の特徴は、われわれの「まるっと店舗DX」のあらゆるアイテムを実装した店舗になっており、商品のデモンストレーションや商談会も構想しています。沖縄は全国に比べると、飲食店が多い要素が関係しているのかもしれないですが、デジタル化への感度は比較的高いと見ています。

 一方で、この場所をただ単にDXのショールームにしたいわけではなく、地域の方々に愛されるようなお店にしたい。その点で、料理にもしっかりこだわりました。東京の人気イタリアン「KNOCK(ノック)」が監修し、沖縄の食材を使ったメニューを提供します。ぜひ多くの方に足を運んでいただけたらと思います。
 最終的には、このお店で培った経験や得た知見を、商品の改善や飲食店のコンサルに活かすなど、飲食店オーナーさまに還元していくことを目指しています。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは 進化し続ける革新的なデジタル技術が人々の生活を豊かにしていくという概念