[心つなぐ花咲かそ 玉城千春](9)

母校・読谷中学校の廊下に立つ玉城千春さん

 春爛漫(らんまん)。私の名前にもあるこの季節が好きです。新しく芽吹く草花に出合うとうれしくなります。

 私は夢や幸せの種を、皆が持っていると信じています。しかしコロナ禍で夢や希望、未来のことを想像することができないと、不安になっている子どもたちがいました。

 昨年から取り組んだ特別授業「未来へ#いのちを歌おう」。18年前に病気で亡くなった当時読谷中学校1年の松田拓哉君をしのび、同校に植えられた桜の木をモチーフに制作した「命の樹」をシンボルソングに、県内21の小中学校を訪問しました。そして私はSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みをコラムで書き、歌うことを通して学んできました。

 授業では、夢をつかむまでの道のりや挫折を乗り越えてきたこと、今挑戦していることなどを歌を交えてお話ししました。学びや行事、コミュニケーションが制限され、我慢を強いられた学校生活。子どもたちも先生方も悩みながら安心することのできない日々を過ごしていることでしょう。私は歌い手として何か力になりたいと思いながら、体育館で、時には放送室から、子どもたちと向き合ってきました。

 最初こそ緊張しますが、時間が進むにつれ反応は変化していき、最後の質問タイムの頃には心の距離もぐっと縮まっています。そのひとときが「さあ、今日は私をどう料理してくれるんだい?」と思える楽しみの一つになっていました。

 一番に手を挙げ、立ち上がってから質問を考える子。「僕の眼鏡は似合いますか?」と切り返して笑わせる子。「自分を最大限にアピールするために必要なことはなんですか?」なんて、私も誰かに教わりたいな。家に帰ってから「あぁ、こう答えてあげれば良かった」と考え込んでしまうこともしばしばでした。

 私が入場すると、体育館の中に入れず、先生に付き添われながら、靴箱辺りでじっとうつむいて立っていた生徒もいました。気に掛けていたら、少しずつみんなの列に近寄ってきて、最後まで話を聞いてくれました。退場する時には、しっかり顔を上げて私を見送ってくれて。

 そんな小さい心の変化や動きだした一歩を感じ取れた瞬間、一緒に笑ったり心が震えたりした時は「頑張ったね。あなたのその勇気をありがとう。ゆっくりでいいよ。大丈夫だよ」と抱き締めたくなります。私は子どもたちから、マスク越しの笑顔と元気をもらい「またいつか会おうねー。夢をかなえたら知らせてねー」と呼び掛けます。

 沖縄タイムス社とパートナー企業37社の皆さまをはじめ、たくさんの協力と万全な感染予防対策の下で実施できた特別授業では、沖縄の子どもたちに私の歌や思いを届けることができました。メディアを通して知ってくれた人からも応援や励まし、感謝の言葉を頂きました。

 企業や行政、個人が世代や国を超えて、それぞれの分野でできることを生かす、助け合いの輪。皆さんの心にも何か芽吹くことがあるはずです。

 Let’s go together 未来へ向かって Don’t forget your smile きっと大丈夫 諦めないどんな時も Believe in yourself Let’s go together.

(Kiroroボーカル)=おわり