海邦銀行SCがサッカー九州リーグで連続20年目のシーズン開幕を2週間後に控えた6日朝。西原町民陸上競技場のトラックで、300メートル走を何度も繰り返す選手たちがいた。

20年目の九州リーグ開幕を控え、練習試合の前に激しく走り込む海邦銀行SCの選手た=6日、西原町民陸上競技場(溝井洋輔撮影)

 練習試合の直前だが、目標タイムを秒ごとに読み上げる仲間幹監督(52)の大きな声が妥協を許さない。20代前半から50代に手が届くベテランまでが、自らを限界へと追い込んでいた。

 厳しい走りの練習は海銀SCにとっては当たり前で、坂道ダッシュも定期的に取り入れる。「体力強化の練習だが、メンタル面のトレーニングでもある」と石井洋介コーチは言う。教員や会社員、銀行員や芝管理など選手の勤め先はさまざま。社会人が学生時代のような厳しさを体験することで、戦う集団へと意識を変える効果を生み出している。

 昨季までの19年間、9~12チームで推移したリーグで海銀SCの平均順位は6.5位。2014年に最高の2位に入ったことはある。降格危機も2度あったが瀬戸際で踏みとどまった。その原動力が走り込みによるものとの実感は、選手全員が共有する。

 近年は沖縄SVのようにJリーグ入りを目指すレベルの高いチームも増えた。一方の海銀SCに集まる選手も県内社会人のトップクラス。基本技術や経験はある。走力を切らさず、守りを固めれば接戦に持ち込める-。28歳で就任した仲間監督は約20年前、苦い経験を糧にこの信念を固めた。

 01年に県内で初めて九州リーグに昇格したとき、1季で降格した。遠征人数がなかなかそろわなかった事情もあったが、全18試合で2勝しかできなかったのは衝撃だった。「井の中の蛙(かわず)だった。九州でも通用するかと思ったが、走りも技術も劣っていて体力がないと勝てないと痛感した」と振り返る。2年ぶりに復帰した03シーズンから体力づくりが強化方針の軸に据えられた。連続20年目の起点となる年だ。

 GK與那城慧太主将(32)は加入9年目。リーグに定着した今、走りの大切さを継承しながらさらなるレベルアップを心掛ける。「沖縄で質の高いサッカーを続けるために海銀SCは一つの選択肢になっている。上でプレーした人も来るし、若い人にとってはステップアップの場となっている」と述べ、受け皿を守る責任感をにじませる。この場を失うわけにはいかないとの決意が、多くの選手のモチベーションとなっている。

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 県社会人サッカーをけん引してきた海邦銀行SCが九州リーグに昇格して連続20年目のシーズンが19日に開幕する。この間、FC琉球がJ2へと駆け上がり、近年はJリーグ入りを目指す沖縄SVが席巻する舞台。沖縄かりゆしFCやFC那覇が奮闘した時期もあったが、今も戦い続けているのは海銀SCだけ。九州全体でもリーグ在籍年数は2番目と長い。OBは指導者として多くが県内で普及・強化に携わる。走りを強化した戦いの軌跡、社会人の受け皿として果たしてきた役割を振り返る。

(溝井洋輔)