入学、進学、就職と、子どもの成長に応じて求められる役割も変化する子ども部屋。琉球風水を取り入れて模様替えした上原さん宅の事例から、美しく、居心地よく、集中できる空間づくりのヒントを紹介する。文・比嘉千賀子(ライター)

娘の好きなティファニーブルーをアクセントに、さわやかでエレガントな空間に模様替えした子ども部屋。家具のレイアウトとインテリアのトータルコーディネートに、琉球風水の考え方を生かした(写真提供:ロンジェ琉球風水アカデミー)

                    

模様替え前。白壁に濃い赤茶色の床で、壁紙も老朽化

「好き」と「思い」形に

 築30年超のマンションの1室 壁・床・天井・家具を変更! 

 

居心地悪いマンションの子ども部屋
美しく洗練されたパワースポットに

3LDK、築30年超のマンションで暮らす上原さん。3男2女、5人の子どもは4人が独立。母の桂子さんは、末娘・ようさんのために、部屋の模様替えを提案した。琉球風水師・東道里璃さんのスクールで琉球風水を学ぶ桂子さんは「あと何年一緒にいられるかわからないけど、娘の好みを取り入れた上質で心地よい空間を体感させてあげたかった」と話す。

男女別に一部屋を割り当て、きょうだいで共用していた子ども部屋。ようさんは、「初めての一人部屋。アート活動をしていて仕事場も兼ねるので、ワクワクする部屋にしようと思いました」とにっこり。


麗しさ×癒やし

桂子さんは、はじめに自身で琉球風水鑑定を行い、なんとなく感じていた心地悪さの「原因」を突き止めた。老朽化によるくすみ、寒々しく感じる色使いなどネガティブな陰の氣が強かった。一方、西日が強く入り、心地よく過ごすためには過剰な陽の氣を抑える必要があった。そこで、ようさんの好みを優先しつつ、心地悪さの原因を改善するプランを作成した。「話し合いながら、娘の夢や好きなテイスト、思いを深掘り。私の思いも伝えて形にする過程は、至福の時間でした」

コンセプトは、「海を見ながらゆったり過ごせる部屋」。壁紙は、ようさんの好きなティファニーブルーを主役に。幅木(壁と床の境目に張り付ける部材)は、桂子さんが白に塗装。床はヘリンボーンの軽やかな色に変更し、上品な家具を新調した。「母の問いかけで麗しさやキラキラ感だけでなくリラックス感も欲しいと気づき、床の色とデザインを変更。居るだけで落ち着く部屋になりました。色の見え方なども教えてもらい、お母さんってすごいと思いました」と、ようさん。

桂子さんは、「一部屋の模様替えで、家の雰囲気が変わった。次は家全体のリフォームを完成させたい」と、新たな目標を掲げる。

模様替えを行った上原桂子さん(左)と、娘のようさん。「結婚して家を離れても、仕事場として使わせてもらいたいくらい、居心地がいい」とようさん。床は、貼ってはがせるフロアシートを採用したため、将来の模様替えも手軽にできる

上写真を基に琉球風水師・東道里璃さんが解説

 ようさんの部屋の琉球風水のポイント 

インテリアの調和取りつつ風水プラス

家具レイアウト/琉球風水の「氣の流れの鑑定」に基づき、ベッドのヘッドボードを壁に向けています。頭が壁に守られることで、氣が安定し、落ち着いて眠ることができます。琉球風水の「個別運勢方位鑑定」も使い、吉方位をようさんの生年月日から導き出しました。体と精神を癒やし、健康・長寿の運気を得られる吉方位に枕が向いています。

安全の工夫/風水ではとがった角を「鬼角(きかく)」とよび、刃物ととらえます。寝ている体に家具などの角が向いていると、体に不調が出ることがあります。ようさんの部屋は枕元の横に出っ張った柱の角があり鬼角となっているため、白のモールディングでカバー。デザイン的に美しくみせながら、鬼角から発する悪い氣を改善し、健康に過ごせる安全な環境を作っています。

ファブリックコーデ/ようさんの好みの色や柄を軸に、アメリカ沿岸部のリゾートを感じさせる「コースタルスタイル」にテーマ設定。その上で、「陰陽鑑定」を使い、部屋で過ごす時の気持ちに合わせ青色の明度と彩度を調整しました。ポイントは、求めるスタイルになるようインテリアをコーディネートしつつ、風水鑑定を組み込んでいること。これにより部屋全体で統一感のあるコーディネートができます。「〇〇でなくてはならない」と、風水の本に書いてある「部分的なやり方」だけにとらわれると、インテリアのバランスはちぐはぐに。風水設計とは、全体的な調和を取ることを目指しつつ、部分的にも風水の良い要素をプラスします。

 

プロフィール

とうどう・りり/建築家と連携し、新築住宅の間取りからインテリアまでトータルで風水設計を行う。王朝時代の伝統風水術を現代住宅に適用するため、風水空間プロデュースの手法を体系化した。ロンジェ®琉球風水アカデミー学長。

東道里璃さんに聞く 笑顔あふれる子ども部屋

家具は、白のエレガントなデザインで統一。琉球風水の「八方位鑑定」から、時計やライトに丸みのあるゴールドを取り入れ、上品で華やかなアクセントに。「この部屋が位置する西の方角の象意、つまり『豊かさ』『楽しみ』の運気を得られます。八方位の運気はこのようにポイントで入れるのがコツです」と東道さん

◆安心感と集中力生むベッドの配置

ベッドの配置は、ドアから見た時、対角にある壁にヘッドボードをつけるのが理想。また、ベッドと机を同じ部屋に置く場合、机に向かっている時にベッドが視界に入らないようにすると、デスクワークに集中できる。家具にはそれぞれ機能があり「寝る」「勉強する」「仕事をする」など異なる役割を持つ。「視線の流れ」を設計することで、気持ちの切り替えがスムーズにできる工夫を。寝ている位置の前方にドアがあると、誰か入ってきてもすぐに分かるので、安心感が得られる

 

 年代別のポイント  成長に応じて変更可能に!

「子ども部屋は、お子さんの成長と変化に対応しながら、心の成長を見守ることのできる環境づくりが大切です」と東道さん。お子さんが必要とする氣も、年齢に応じて変化します。

◆小中学生 「安全を設計し、美しく統一」

ベッドや机などの家具の購入をする時期。服や勉強道具など子供のモノも増え、収納の仕組みづくりも必要です。まず、眠る位置の安全を確保し、集中できる机の配置を決めます。次に、同じ部屋に置く家具はスタイルを統一させて購入してください。購入する前の計画が重要。家具のサイズを入れた設計図を作りましょう。


◆高校生以上 「夢や憧れで彩る」

将来の目標や、理想の自分への意識が高まる時期。部屋に居るだけで、夢や目標がインプットできる工夫を。2面で紹介している部屋は、ようさんの憧れの女優、オードリー・ヘプバーンがコンセプト。映画のワンシーンをイメージできるティファニーブルーの壁紙から設計がスタートしました。部屋にはヘプバーンの写真も飾られ、居るだけで憧れの存在を意識できます。
 

◆子ども部屋を風水チェック!

琉球風水には、空間の心地よさを判断するためのチェックポイントがあります。心地悪さにつながるネガティブなエネルギーの原因を突き止めることができれば、改善ができます。Yesが多いほど風水の良い空間です。チェックが入らなかったポイントを改善しましょう。

□ベッドのヘッドボードが壁に向いている
□ベッドの頭上に梁(はり)がない
□寝ている体の横に背の高い収納家具がない
□ベッドの真上につり下がりの照明がない
□寝ている体を映し出す位置に鏡がない
□枕元の1.5m以内にコンセントがない
□エアコンの風が寝ている体に直接当たらない
□机に向かうと、ベッドが視界に入らない

完璧を目指す必要はありません。プラスの風水的要素を一つでも多く取れるよう、家具レイアウトを設計しましょう。

 琉球風水による空間づくりの利点  自然と調和する「心地よさ」の再現

-模様替えに琉球風水を取り入れるメリットは?

東道 心地悪さの原因を特定して、インテリアをデザインできることです。風水とは住宅の東洋医学。風水を医療に例えると、風水鑑定は医師の「診断」。コンセプト設計は「治療方針決定」で、デザインは「治療計画」。家具の購入は「手術」です。

家具の購入前に、丁寧なデザインプロセスがあるので「目には見えない心地よさ」を設計して部屋づくりできます。古いものを新しくするだけでも氣の質は上がりますが、それは「対処療法」です。風水設計は心地悪さの原因を改善する「根本治療」です。


-琉球風水の部屋づくりの手順は?

東道 ①風水鑑定 ②コンセプト設計 ③家具レイアウト設計 ④デザイン的統一の4ステップです。今回ご紹介した上原桂子さんは、琉球風水の4種類の鑑定法を使ってプランを作成しています。これらの専門的な鑑定法がわからなくても、ご自分で簡単に風水チェックできる項目をリストアップしました=上参照。こちらを活用して現状を把握し、改善策を考えてみてください。

お部屋づくりの主役は「風水」ではなく、そこで過ごす「人の気持ち」。人が幸せになるために風水を利用するのであって、風水に従うことが目的ではありません。お部屋作りでは、お子さんの気持ちに寄り添い、テーマを決めましょう。そして、家具レイアウトを風水で最適化して設計します。家具を選ぶ時は同じスタイルで統一を。

-琉球風水は、首里城の建築にも活用されています。

東道 日本で唯一、本場中国の正統な風水が伝わったのは沖縄です。中国においても風水術は段階的に発展をとげ、技術レベルで頂点に達するのは、明・清の時代です。琉球王府の役人は福建へ留学し、最新の風水術を持ち帰りました。18世紀には蔡温により首里城の風水鑑定が行われ、国家政策にも大々的に風水思想が生かされました。

風水哲学による環境づくりは、自然と調和して安全に暮らす機能性の高さが特徴です。さらに、「美しいものに囲まれて暮らしたい」という美的欲求をも満たします。五感で「心地よい」と感じる空間は、脳が無意識レベルで喜びを感じることが、現代の脳科学でも分かっています。

※週刊タイムス住宅新聞第1888号(2022年3月11日発行)紙面より転載