[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1275)

 日本では2015年末に進行非小細胞肺がんに対して免疫チェックポイント阻害剤が承認され、以降、実臨床で広く使用されるようになってきました。

 ヒトの体内には、がん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)が存在し、活性化された免疫細胞ががん組織へ進入し傷害を与えることでがん増殖が抑えられます。

 一方、免疫細胞の攻撃が過剰にならないようブレーキ役を担う因子があり、がんはこれらのシステムをうまく利用することで免疫細胞の攻撃から逃れ増殖していきます。これらのブレーキ役を担う因子を阻害する薬剤として免疫チェックポイント阻害剤が登場しました。

 大きな特徴は、一定の患者さんで長期に治療効果が持続することにあります。これまでの研究から、初回治療時から導入した患者さんで生存期間を延長する割合が高いことが証明され、現在では初回から使用されることが多くなってきました。

 単剤のみでなく、免疫チェックポイント阻害剤+抗がん剤併用(19年進展型小細胞肺がんでも承認)、免疫チェックポイント阻害剤2剤併用(+抗がん剤)など、さまざまな使い方で適応となっています。

 免疫チェックポイント阻害剤では免疫が活性化したことによる症状として、甲状腺機能低下などの内分泌・代謝障害、肺障害、出血や潰瘍を伴うような腸炎、肝炎、皮膚炎、神経障害などの副作用が出現する可能性があります。いずれも頻度は比較的低いものの、従来の抗がん剤では認められないものもあり注意が必要です。

 免疫チェックポイント阻害剤の適応については、全身状態が悪い方、病状進行が早い方、自己免疫性疾患や間質性肺炎に罹(り)患(かん)している方、肺がん発症の原因となるドライバー遺伝子のある方などで導入が望ましくない場合もありますので、主治医の先生や医療者チーム、ご家族ともよく相談してご判断頂きたいと思います。(古堅誠琉球大学病院第一内科講師=沖縄県西原町)