父親とは、頼めばいつでも助けてくれて、もろ手を挙げて甘えさせてくれる人。言い換えれば、私に恋をしたかわいそうな男。

「エリザのために」

 少女エリザは、イギリス留学を決める大事な試験を翌日に控えた朝、暴漢に襲われた。合格間違いなしの成績を誇るエリザだったが、事件の動揺が試験に悪影響を及ぼすのは目に見えて明らか。娘の心の傷、そして未来を思うあまり、父親のロメオは娘の合格と幸せを願い、裏工作に奔走する。娘の気も知らないで。

 医師の立場を利用し、自分のため悪事に手を染め、ぶざまに突っ走る父の姿に感謝はおろか、嫌悪感を示すエリザ。それでも、娘のために何かせずにはいられないロメオ。

 交じり合わない父と娘の感情の、どちらにも共感できるように進行する物語。私たちに恋するお父様方、皆さんの哀愁が映画になりましたよ。 (桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場で4月15日から上映予定