NPO法人メッシュ・サポート(那覇市)が1日、沖縄本島北部地域での救急・救助ヘリ活動を約3週間ぶりに再開した。所有する小型飛行機が3月12日、伊江島空港内で墜落後、救急ヘリ活動も自粛していた。昨年度に引き続き、北部12市町村でつくる北部広域市町村圏事務組合と沖縄北部地域救急・救助ヘリ運航事業委託契約を結んだ。メッシュの塚本裕樹理事長は「気を引き締め、地域医療のために頑張っていきたい」と力を込めた。(北部報道部・西倉悟朗)

活動を再開した救急・救助ヘリ(NPO法人メッシュ・サポート提供)

救急ヘリに命を救われた当時を振り返り、「あの時助けてもらったから今がある」と話す金城海斗さん=3月19日、名護市

活動を再開した救急・救助ヘリ(NPO法人メッシュ・サポート提供) 救急ヘリに命を救われた当時を振り返り、「あの時助けてもらったから今がある」と話す金城海斗さん=3月19日、名護市

 同組合は、飛行機事故とヘリの運航に直接的な因果関係がないことをメッシュ側に確認。これまでの活動実績などを踏まえて判断したという。担当者は「これまでも航空法や運航要領などに基づき、しっかり活動してもらってきた。引き続き北部の救急医療に貢献してほしい」と話した。

 新たな契約期間は1日から2023年3月31日まで。総事業費は1億5千万円。活動拠点は伊江島空港から、18年までメッシュが利用していた名護市宇茂佐のヘリポートに移転する。塚本理事長は「日常行う機体の点検方法など、事務組合も含めて再確認した。改めて地域のために頑張っていく」と決意を述べた。

 墜落した飛行機はメッシュが独自に運航していた。空港のある場所でしか離着陸できないため、比較的緊急性が低い急患搬送や本島で救急治療を終えた離島患者の帰島支援などを担っていた。一方、ヘリは緊急性の高い急患搬送も実施。離島を抱える北部地域では一分一秒を争う救急医療に大きな役割を担っている。

■感謝の念 空を仰ぐ 小4で溺れて搬送

 「あの時助けてもらったおかげで今がある」-。名護市の金城海斗さん(22)は小学4年生の時、国頭村の川で溺れたところをメッシュのヘリで救急搬送され、命を救われた。飛行機の墜落事故による自粛を経ての活動再開に「安全飛行で、助けを求める人の命を救ってほしい」と願いを込める。

 2009年の夏休み。遊んでいた国頭村の川で溺れた。意識を失ったが救急車とヘリで運ばれ、病院の集中治療室で目を覚ましたという。

 幸い命を取り留めたが、メッシュヘリが来なかったら危険だったこと、搬送中も医師や看護師が懸命に治療してくれたことなどを後から聞いた。それ以来、メッシュのヘリが飛んでいると感謝の思いで空を見上げている。

 「助けてもらった命。自分も誰かの役に立てたら」との思いもあり、現在は本部町の特別養護老人ホーム「本部園」で介護職として働く。生きているからこそ楽しい時間を過ごし、利用者ともおしゃべりできる。「早く天国に行きたい」と言う利用者には「生きていれば楽しいことがあるかもしれないよ」と語り掛ける。

 メッシュの小型飛行機が墜落したことは仕事中に知った。人ごととは思えず胸が苦しくなり、大きな悲しみを感じた。それだけに活動再開のニュースに胸をなで下ろす。「これからも、どこかで助けを求める人はいる。乗組員の方々も体に気を付けながら安全飛行を心掛け、一分一秒を争う人々にいち早く手を差し伸べ続けてほしい」(社会部・當銘悠)