[沖展 OKITEN 2022 73rd]
第73回沖展では工芸分野の若手作家が成果を上げた。染色部門の知念冬馬さん(33)は4年連続の奨励賞受賞で準会員に推挙。漆芸部門では上江洲安龍さん(25)が初出品で奨励賞。同じく嘉数翔さん(25)も浦添市長賞を受賞した。
知念さんの受賞作「紅入藍型着物(びんいりいぇーがたきもの)『朧型(うぶるがた)・鳳凰雀(ほうおうじゃく)』」は、複数の型紙で重ね染めする朧型と、藍を軸に複数の色を入れる紅入藍型の技法を用いた繊細な染め上がりが特徴的だ。「近くから見るのと離れて見るのでは印象が違うと思う」と話す。
紅型制作者が審査に当たる沖展は「技術を見てくれる」と気合が入る。準会員に推挙され「また、来年に向けて作りたい」と気持ちを新たにした。「毎年反省はあるが、数十年先でもきれいだと自分で思える作品ができるよう、技術を磨きたい」
漆芸部門の上江洲さんと嘉数さんも、意匠の発想や技術力が高く評価された。上江洲さんは「自信につながった。作家活動の励みになる」と受賞を喜ぶ。嘉数さんは、器物以外の造形の追究や基材となる木の研究にも熱心だ。
県立芸大非常勤講師の上江洲さんと同大学院研究生の嘉数さんは開邦高校の同期生。期せずして同じ道に進んだ2人は「りゅうぎん琉球漆芸技術伝承支援事業」にも参加している。「お互いに刺激になる」と切磋琢磨(せっさたくま)を誓った。(学芸部・真栄里泰球)