画家・翁長結生乃さん(30)=沖縄市出身

 モデルから転身、画家の道を選んだ。イラストや墨画、写真など表現は多岐にわたるが、作品には独特の精神世界が広がる。「画家の魂が入ったものが本当の絵画。持てる全てを注ぎたい」。あふれる創作欲をキャンバスにぶつけている。

「仏画は決まり事が多く、絵具も自作する。準備から修行です」と語る翁長結生乃さん=東京、渋谷区のアトリエ

 画家デビューは26歳。4年弱というキャリアだが、コーヒーと炭で描いた抽象画が都内有名レストランのVIPルームに採用された。定期的な個展開催、アートイベントにも積極的に参加する。

 心で感じたことをイラストや文字で書き留める多感な少女期を過ごした。感受性が強く、人間観察力に秀でる一方で、日本文学や仏文学を通して色彩や美に興味を持つようになった。「友人とのお喋りよりも、死生観や人間の真理を考えるような難しい子だった」と笑う。高校では油絵を専攻。170センチの長身と端正な顔立ちから、モデルとして参加した全国高校ファッションデザイン選手権で団体3位に入賞した。

 ある時、美術館で目にした版画家、名嘉睦稔氏の作品の前で足が止まった。「絵から人が飛び出してきた。自分も画家として大成したい」と思うようになった。

 画家への思いを抱きながら高校卒業後に上京。「知名度がなければ、作品も見てもらえない」と考え、芸能事務所に所属し、グラビアモデルやタレントとしてテレビに出演するようになった。仕事に没頭する生活で、いつしか絵からも遠ざかってしまう。心にふたをして過ぎていく日々の虚無感を遠方から案じていた祖母の一言が救った。「あなたは絵を描きなさい」

 芸能活動をしながら美術・洋裁学校に通い始めると、忘れかけていた感覚が徐々に戻ってきた。引退を考えるようになった時、バラエティー番組のコーナーで共演者のイラスト描きを依頼された。自然と手が動いた。「私はまだ描けるんだ。本当の自分を出せるのはこの道だ」。画家への専念を決意した。

 自らの体を題材とした映像作品や久米島紬(つむぎ)を利用したウエディングドレス制作など、表現の幅は絵画だけにとどまらない。昨年からは仏画やアートセラピーに傾倒し、ミルク神などをモチーフにした作品を手掛けている。「仏画はさまざまな気づきを与えてくれる。いつかは沖縄の神様を題材にした絵を描きたい」と目を輝かせた。(小笠原大介東京通信員)

 おなが・ゆきの 1986年、沖縄市生まれ。2歳で絵を描き始める。浦添工業高デザイン科を卒業後に上京。「麻田侑希」としてモデル・タレントとして活動した後、2013年から画家に専念。14年4月に「アンディ・ウォーホル インスパイア展」で初の個展。16年からは仏画の作品を手掛ける。2011ミス・ユニバース・ジャパン沖縄大会ファイナリスト。