早産などで小さく生まれた赤ちゃんの成長記録や子育てに関する情報を載せる「リトルベビーハンドブック」の作成に沖縄県が本年度、着手する。全国で導入が進む中、低出生体重児の割合が最も高い沖縄は遅れていた。低出生体重児で生まれた子を持つ親でつくる「やんばるちびっこの会」の石上朱美さん(38)は「自分を責めがちな母親に寄り添ってほしい」と、当事者の声を反映した内容となることを期待している。(社会部・銘苅一哲)

「予防接種の情報もほしいね」などと沖縄版のリトルベビーハンドブックについて語り合う石上朱美さん(右から2人目)、大島友子さん(左)と子どもたち=6日、名護市・コワーキングオフィス「howlive」(銘苅一哲撮影)

 名護市出身の石上さんは2014年に県外で2人目の息子を出産。妊娠24週の早産で体重は690グラムだった。新生児集中治療室(NICU)で過ごす息子を初めて抱いたのは出産69日目。自発呼吸ができるようになった息子の声を初めて聞いたのは76日目だった。

 医師の協力を得て念願だった名護へ引っ越し。訪問看護や県立北部病院でケアを受ける中、同じ境遇の親子がつながる会を16年に発足した。息子は入退院を続けながらしっかり成長し、今は元気な小学3年生だ。

■母子手帳の質問に「いいえ」ばかり 落ち込む母親

 昨年6月、全国で「リトルベビーハンドブック」が広がっていることを知った。通常の母子手帳は、月齢ごとに「手足を動かしますか」「母乳をよく飲みますか」などの質問があり「はい」「いいえ」で成長を判断する。石上さんは「早産児はほとんど『いいえ』。母親は、ただでさえ自分を責めているのに、余計に落ち込む」と語る。

 体重を記録する発育曲線も母子手帳は1キロ以上から始まることが多いが、県外のハンドブックは0キロから。成長の記録では「人工呼吸器のチューブが外れた日」「酸素療法を終了した日」とたくさんの“記念日”を残せる。それぞれの成長に合わせた記録に加え、先輩ママ・パパの体験メッセージ、医療機関の情報も掲載されており、ぜひ沖縄でもと県にハンドブック作成を働きかけた。

 同会メンバーの大島友子さん(45)=那覇市=の娘は2020年12月に妊娠22週420グラムで生まれた。当時は「母乳は出るか、障がいが残らないか」と不安でいっぱい。さまざまな情報が飛び交うネット検索は怖かったと振り返る。「娘は1歳を過ぎ、元気に成長した。ハンドブックで正確な情報を知れば、より安心できたはず。コロナ禍で親同士の交流が難しい中、貴重な資料になる」と期待する。

 石上さんらは県が作成に乗り出すハンドブックについて、母親の心のケアや父親向けの情報、体験談を多く載せるなど充実した内容を要望する考えだ。

■低体重児の比率が全国最高の沖縄県、作成を検討へ

 低体重児の保護者らの要請を受け、県は2022年度内に着手する「リトルベビーハンドブック」の作成に向けて、保護者や専門家、市町村の担当者に意見を聞く検討委員会の設置を予定している。配布時期やハンドブックの内容など、具体的な計画はこれからという。

 県によると、19年の出生数に占める2500グラム未満の低出生体重児の割合は、全国9・4%に対し、県は11・2%と全国で最も高い。1500グラム未満の極低出生体重児の割合は1・0%(全国0・7%)、さらに小さな1000グラム未満の超低出生体重児は0・4%(同0・3%)といずれも全国を上回っている。

 県が14年度に実施した低体重児出産の要因分析では母親について「喫煙」「妊娠後期の高血圧」「低身長・痩(や)せ」などが多かった。(社会部・東江郁香)