那覇市の喜納千鶴子さん(99)が松尾2丁目で70年近く営んできた喜納商店を今月、店じまいする。喜納さんは昨年6月に回想録「思いぬままに書ちやびら」を自費出版した。次女の新垣朋子さん(72)らが400冊ほどある在庫の引き取り手を募っている。9日午後2時~同6時、喜納商店で配布会を行う。(社会部・城間陽介)

成人した孫の望さん(左)とツーショットの喜納千鶴子さん=2000年ごろ、那覇市松尾の喜納商店で撮影(提供)

 喜納さんは店主を退き、現在は福祉施設に入居している。店を切り盛りしながら80歳を過ぎて自分史を書き始めた。本はうちなーぐちで書かれ、本部町豊原(旧桃原)で生まれた喜納さんの戦前、戦中、戦後の暮らし、家族や身辺の出来事、人生訓をつづっている。

 文中の「方言札のヒミツ」では、小学校時代に同級生の男子生徒にいたずらで腰をたたかれ「あがー」と発言した途端に方言札を首から掛けられた、というエピソードを回想している。落ち込んでいると先生が「心配さんけー」と人目に付かない場所で方言札を取り上げてくれたという。

 喜納さんはこうした回想を使用済みのカレンダーの裏紙を使って書きためていたという。メモを本の形にまとめた新垣さんは「当時の暮らしぶりが分かり、移ろいゆく沖縄の歴史にも重なるから面白い」と話す。喜納さんは後年、沖縄の古歌謡集「おもろさうし」を読み解く「おもろ研究会」にも所属し、本には研究会メンバーとの旅行写真も掲載している。

 喜納さんは2014年に祖母や母から習ったムンナラーシ(教え)をまとめた著書「チルグヮーのむんならーし」を沖縄タイムス社から出版した。

 新垣さんによると喜納さんは「生まり島ぬ言葉忘りーねー、自分失いん(生まれ故郷の言葉を忘れたら自分を失う)」とウチナーグチ継承の大切さを説いていたという。

 9日午後の配布会の問い合わせは新垣養蜂園、電話098(884)0814まで。