【東京】沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は8日、軟弱地盤改良に伴う沖縄防衛局の埋め立て変更承認申請を不承認とした県の処分について、取り消す裁決をした。不承認処分は「違法かつ不当」と主張。地方自治法に基づき、今月20日までに申請を承認するよう勧告した。従わない場合は法的義務を伴う是正の指示をする可能性がある。県は総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」への審査申し出や抗告訴訟などで対抗するとみられる。(東京報道部・新垣卓也)

県の不承認処分に関する審査請求裁決・勧告の骨子

 国交相は裁決書で、軟弱地盤が海面下90メートルに達するとされる「B27地点」で力学的試験をせず、離れた3地点の試験結果から強度を推定していることに関して「合理性がある」と記述。

 B27付近の護岸の安定性能照査も「港湾技術基準に適合するよう行われていると認めることができる」などとした。

 これらは、審理手続きを担う国交省の審理員が、地盤工学が専門の日下部治東京工業大学名誉教授に求めた鑑定書を踏まえている。

 県は軟弱地盤の存在などで「埋め立ての必要性」に合理性は認められないと主張したが、国交相は「手段や方法を変更するもので、必要性に影響を及ぼすものではない」とし、「審査事項にはならない」と結論付けた。

 絶滅危惧種のジュゴンに与える影響などに関しては「適切な予測や評価が行われている」などと強調。設計変更が環境に及ぼす影響の程度は「変更前と同程度、またはそれ以下」と認めた。

 審査請求を巡り、県は3月、日下部氏の鑑定は「不十分」と指摘する意見書を審理員に提出した。

 国交省は「防衛局と県の主張や証拠を鑑定資料としており、鑑定人がそれらを検討すれば足り得ると判断した」と説明。意見書は考慮されていないとした。

 玉城デニー知事は8日、県庁で記者団に「裁決書の内容を精査する必要がある」と述べ、対抗措置を検討する考えを示した。

 防衛局は2020年4月、軟弱地盤改良のため、変更承認申請を県に提出した。県は21年11月、軟弱地盤の調査が不十分なことなどから不承認と判断。防衛局は県の処分を不服として、私人の権利救済を目的とする行政不服審査制度を使い、同12月に公有水面埋立法を所管する国交相に審査請求。不承認は「行政権の著しい乱用」などとしていた。

(写図説明)県の不承認処分に関する審査請求裁決・勧告の骨子