[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1276)

 日本人は、一生涯で2人に1人ががんにかかり(全国がん登録による全国がん罹患率データ2017年)、男性は4人に1人、女性は6人に1人ががんで亡くなる時代となっています(人口動態統計による全国がん死亡データ19年)。

 膵がんは難治がんの代表です。さまざまな対策や医療の進歩により、がん全体の5年生存率は7割弱になりましたが、膵がんでは1割弱にとどまっています(地域がん登録によるがん生存率データ09~11年診断例)。早期発見、早期治療の重要性は他のがんと同じであり、膵がんの場合は特に症状出現前の発見が望まれます。

 無症状のうちに膵がんを発見するには、検診を受けていただくことが重要です。現時点で指針として定められている膵がん検診はないため、人間ドックなどの任意の検診を受ける必要があります。有用な検査法としては腹部エコー、腹部MRI(MRCP)などがあり、がんそのものの発見に加え、がんが小さく発見できない場合にも膵管拡張などの2次的な変化の発見が期待できます。

 一方、膵管拡張や膵嚢胞(のうほう)だけを指摘された場合にも、がんの2次的な変化である可能性があるため、必ず病院での精密検査を受けてください。膵がんは50歳ごろから増加し始め、リスク因子として膵がん家族歴、糖尿病(特に新規発症後や急激な増悪後)、肥満、慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵嚢胞、喫煙、大量飲酒などが知られており、これらに該当する方には特に強く定期的な検診をお勧めします。

 定期的な検診を受けていても、残念ながら進行膵がんで発見されることがあり、現在の検診方法は十分ではありません。より簡便で確実な検査法の研究が進んでいますが、実用化には至っておらず、それまでは膵がん早期発見のためには、リスク因子のある方に定期的な検診を受けていただくことが最も重要だと考えています。

 一日も早く新型コロナウイルス感染流行が収束し、安心して検診を受けられる日が戻ってくることを願っています。

(高木亮・浦添総合病院消化器内科=沖縄県浦添市)