本書は、「環境・平和・自治・人権-沖縄から未来を拓く」をテーマに、昨年10月、沖縄国際大学で開催された第33回日本環境会議沖縄大会で議論された幅広い観点をまとめた書である。

「沖縄の環境・平和・自治・人権」(七つ森書館・2700円)/日本環境会議は「公害研究委員会」のメンバーを中心に1979年設立。大学研究者や専門家、実務家、弁護士、医師、ジャーナリスト、市民運動のリーダーなど会員約500人。沖縄大会の実行委員長は沖大名誉教授の桜井国俊氏

 主要テーマは辺野古新基地建設問題と高江ヘリパッド建設問題だ。本書では六つの分科会のうち、第1分科会の「環境・平和・自治・人権についての辺野古・高江の問い」と、第2分科会の「辺野古が提起する法的(国際法を含む)諸問題」を章立てし、主な議論を収録している。

 辺野古新基地と高江ヘリパッドの建設が、なぜ問題なのか? なぜ、普天間基地の移設先として辺野古が浮上したのか? なぜ、辺野古である必要があるのか? なぜ、強行されるのか? なぜ、沖縄県内なのか? なぜ、県民の民意が反映されないのか? 日本は法治国家なのか? 今後日本はどうなるのか? 世界自然遺産に指定されるのか? 登壇者は実に多くの“なぜ”に向き合っている。

 私は辺野古新基地と高江ヘリパッドの建設問題は、主に環境問題と人権問題であるとの認識をしてきた。しかし「人権」を守るためには「平和」がなければならない。寺西俊一氏(日本環境会議理事長)は、これら「人権・平和・環境」の価値ベクトルを発展させる装置(社会構造)として「自治」が必要になってくる、と説明している。だから、キーワードとして「環境・平和・自治・人権」が浮上したのだ。部分でなく、より広い視野で捉えないと理解できない事柄であり、取り組みの効果も発揮し難いのだと理解する。

 「不平等・不合理」「構造的差別」「沖縄の海兵隊は海兵遠征隊(MEU)」「基地経済は不経済」「無関心」「沖縄の基地問題はNIMBY」「環境民主主義」「アワセメント」「日米安保」「地位協定」等が「辺野古新基地問題・高江ヘリパッド問題」を理解する上でのキーワードだ。「辺野古が唯一の解決策」という言説の呪縛を解く良書である。日本の将来のために“今”読むべき書である。(新垣裕治・名桜大学教授)