「すごく衝撃的で」と、市民グループ「沖縄カウンターズ」の女性が話し始めた。2月、県庁の会議室。県がヘイトスピーチ対策条例の素案から、発言者の氏名公表を取り下げたことが明らかになった。

 昨年12月段階の素案は、ヘイトスピーチがあった場合、専門家でつくる審査会の意見を聞いた上で県が氏名を公表することにしていた。女性は「意味をなさないことがあるとはお伝えした。自ら名乗って街宣をする人物がいる」と言いつつ、さらなる後退に落胆をあらわにした。「でも、なぜこんなふうに。私たちにとってはあり得ない」

 県は、検討委員会の専門家から「公表は取り返しがつかなくなる」「この段階で必要なのか」などの慎重論があったと説明した。こうして、ヘイトスピーチを事前に抑止する唯一の手だてが、素案から消えた。

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 そのちょうど1週間後。最高裁は、ヘイトスピーチ発言者の氏名を公表する大阪市条例を合憲とする判決を出した。...