「こったいの落語さびら。『さびら』とは、何々しましょう、何々いたしましょうといううちなーぐちです」。ぎのわんシティFMで、社会人落語家・南亭こったいさん(56)=本名・玉城智さん=のうちなーぐち落語が流れてくる。番組は木曜午後10時と土曜の午後2時の週2回。番組を担当して約1カ月。「落語にうちなーぐちが加わると、もっと面白くなる。たくさんの人に広めたい」。思いを電波に乗せ、届ける。(運動部・我喜屋あかね)

ラジオでうちなーぐち落語「長短」を口演する南亭こったいさん=宜野湾市、ぎのわんシティFM

 20歳の頃から27年間を東京で過ごした。人前に出るのが好きで劇団に入団。和太鼓の演奏に合わせ、日本の昔話を演じた。だが体力面の不安や親の介護もあり、2008年に沖縄へ帰郷。会社員として働いたが、舞台で表現する魅力が忘れられず1年で退職。落語家おきらく亭はち好さんに弟子入りし、アマチュアの社会人落語家として活動を始めた。

 うちなーぐち落語に挑戦したのは15年。若者のウチナーヤマトグチに違和感を覚えたのがきっかけだ。「若い人の言葉は、標準語が混じり、自分たちが使っていた言葉と違う。純粋なうちなーぐちに興味をもってもらえたら」。沖縄芝居の重鎮、八木政男さんや放送プロデューサー上原直彦さんの指導を受けた。

 「丘の一本松」など沖縄芝居を学び、一からしまくとぅばを学び直した。10月に大阪であった社会人落語日本一決定戦に参加。気の長い男と短い男の掛け合いを演じた「長短」で、出場者300人超から10人が残る決勝進出を果たした。

 現在のうちなーぐち落語のレパートリーは「長短」「死神」「まんじゅうこわい」の3題。「江戸の風情ならではの噺(はなし)もある。どこの地域でも起こりえるものを選んだ」と言う。全編うちなーぐちで口演する時もあれば、若者たちの前では「標準語を聞いて情景を想像することもできるはず」と、うちなーぐちと標準語を交える。 

 「長短」は全編うちなーぐち。気の短い短吉がのーまんじゅうを差し出し「かむん? かまん?(食うのか? 食わないのか?)」とせかす。気の長い長太郎が「かむん、かむん。くわっちーさびら(あー食う、食う。ごちそうになるよ)」とのんびりと答える。

 「死神」は、借金を背負った男と死に神が登場。噺の冒頭では、自殺を考える男の前に死に神が現れる。「やー今じんねぇんてぃ困てぃるうさに。いいわじゃぬあしが…すみ?(おまえ今金がなくて困ってんだろ? いい仕事を紹介してやるよ)」。男が共通語、死に神は、昔から沖縄に住んでいたという設定でうちなーぐちで話す。

 ラジオの他にも、居酒屋やカフェでの落語会に出演。「全部は理解できないかもしれないが『何となく面白い』と興味を持ってもらえるのがうれしい」と表情を緩める。今後はうちなーぐちの新作落語にも挑戦する予定だ。「沖縄の歴史を勉強し、その時代にあった噺を作りたい。やれることはたくさんあり、まだほんの入り口。これからに期待してください」