学生服姿で、60センチほどの竹馬に乗った子どもたちが歩くのは海の上。足元を見つめ、落ちないよう必死な姿が1枚の写真に残っている。撮影されたのは、沖縄が日本に復帰する約6年前の奥武島(久米島町)だ。島の子たちの通学路は海。竹馬や舟を使い、学校がある久米島に渡っていた。島の出身者は「通学にも一苦労だった」と話し、竹馬通学は復帰前の沖縄の離島苦を象徴する。

 奥武島は、沖縄本島の西約90キロに浮かぶ。島の面積は東京ドーム約13個分の0・63平方キロメートル。人口はわずか29人だ(2022年3月末時点)。

 復帰前、久米島と奥武島を結ぶ橋はなかった。島の子どもたちは約800メートルの“通学路”を干潮時は徒歩、満潮時には流木で自作した竹馬や木をくりぬいたクリ舟で、学校がある久米島まで渡った。

 「撮影のせいで遅刻したんだよ」。1枚の写真を懐かしむのは、奥武島在住の宮里真次さん(63)。...