[リポート’22 南城発]

津波古区が主催した水上バイクなどの乗り入れ禁止を求める総決起大会。「以前の天の浜を取り戻したい」など、区民らが切実な思いを訴えた=2月27日、南城市佐敷津波古・天の浜

 穏やかだった憩いの場を取り戻そうと、南城市佐敷津波古の区民や行政の模索が続いている。佐敷津波古の海岸「天の浜」。地元住民が集う場所が、ここ数年で一変した。区外から訪れた人たちによる水上バイクの危険な航行が増えたほか、昨年9月には無許可で生鮮食品を調理、販売したとして食品衛生法違反の逮捕者が出た。自治会の高江洲順達区長は「昔から住民が使ってきた場所。静けさを取り戻したい」と切々と語る。(南部報道部・我喜屋あかね)

 快晴が広がった2月27日、天の浜に津波古の区民ら200人以上が集まった。天の浜への水上バイクなどの乗り入れ禁止を求め、同区が初めて総決起大会を開催。区民を代表して児童らが「以前の天の浜に戻してほしい」と切実な思いを訴え、管理者である県などに対し、条例制定などの具体的解決策を示すことなどを求めた決議案を採択した。

入れ墨集団訪れ

 背景には「入れ墨集団」(高江洲区長)と呼ばれる団体による、天の浜の占有的な使用がある。新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が発令され、県内各地で自治体などが管理するビーチが閉鎖された2020年夏ごろから、バーベキューやマリンレジャーをする団体が訪れるようになった。多い時には砂浜に8~10張りのテントを立てて100人以上が集まっていたとの情報もあり、高江洲区長は「入れ墨が怖くて誰も近づけず、抗議もできなかった」。水上バイクと遊泳者が浜で衝突しそうな場面もあったという。

 昨年9月に食品衛生法違反で男女2人が逮捕され、うち1人は暴力団とつながりのある反社会的勢力とみられている。市関係者によるとSNSなどを通じて客を集め、1人3~4万円を徴収していた。

 総決起大会後、同様の事例は確認されていない。高江洲区長は「総決起大会の開催を知って遠慮してくれているのなら目的達成になるが、海水浴シーズンが始まればどうなるか。これからが正念場だ」と警戒感を強めている。

指針策定を提案

 天の浜は海水浴場ではなく、高潮対策のために整備された「海岸保全施設」だ。1999年の海岸法の改正で環境などに配慮した護岸や海岸整備が求められ、養浜工事で砂浜を造成するなどして、海水浴もできるようになった。

 管理する県の担当者は「危険な行為や迷惑をかける行為があることは把握している」と問題視する。一方で「海浜を自由に使用するための条例」があり、「誰でも自由に出入りできることが原則。人が近くで泳いでいる時に水上バイクで危険な行為をしないことは当たり前で、それを守れない人がいる。モラルの問題だ」と頭を悩ませる。

 市町村が都道府県から管理権の移譲を受け、新たに制限を設けることもできるが、市の担当者は「権限を受けるにしても課題がある」と話す。もともと海水浴場として整備されていない天の浜には駐車場がなく、トイレも管理施設もない。指定管理制度を導入するにも、収益を得られる見込みが立たないのが現状だ。

 県外では3月、兵庫県明石市が水上バイクの危険行為に対し、懲役刑を盛り込んだ条例を施行した。県は市にガイドラインの策定を提案しているとし、「ルールを定めれば一定の効果も期待できる。今後も一緒に知恵や力を合わせていきたい」と話した。