那覇市の与儀公園で黒煙を上げるSL機関車「D51 222」。撮影されたのは、沖縄が日本に復帰した翌年の1973年3月だ。「デゴイチ」の愛称で親しまれ、実際に九州を走った。しかし、線路がない沖縄になぜこの有名機種があるのか。背景には72年の復帰を巡り、北九州市の国鉄職員と那覇市の小学生によって結ばれた絆がある。

 「北九州市でデゴイチを見たとき『えー、すごいな、ほしいな』と言ったのを覚えています」。今年3月12日に那覇市中央公民館であった、デゴイチを題材とした市民講座。マイクを握った大城武さん(60)が振り返った。「家族で与儀公園の近くを通ってデゴイチを見かけるたび『あれ、俺がもらって来たんだよ』って自慢してました。半分本当です」

 72年は、国鉄の創業100周年だった。

 門司駅(北九州市)で勤務していた故山田辰二郎さんを中心とした国鉄職員が、那覇市の小学生を職員宅へ招待する記念事業を企画した。大城さんは当時、訪問団の一員だった。...