沖縄タイムス社が5月7日、那覇市のタイムスホールで開くシンポジウム「変貌する安全保障環境と沖縄」を前に、基調講演する防衛ジャーナリストで元東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏がオンラインでインタビューに応じ、台湾有事や沖縄を巡る安全保障について語った。(聞き手=東京報道部・新垣卓也)

半田滋氏(防衛ジャーナリスト・元東京新聞論説兼編集委員)=本人提供

 -台湾有事の可能性などをどう考えるべきか。

 「米国に台湾防衛の義務はないが、バイデン大統領は義務があるとの発言を繰り返し、台湾有事への対応に強い意志を示している。中国は、バイデン氏の発言も踏まえ、米軍が台湾防衛に出ると考えているはずだ。仮に米軍が在沖基地から出撃すれば、沖縄が中国から攻撃される可能性は否定できない」

 「安全保障関連法に基づく重要影響事態の場合、自衛隊は米軍の後方支援ができる。それだけでも、中国にとっては日本を攻撃する理由になり得る。米軍が中国との戦闘で損耗すれば、今度は存立危機事態として、自衛隊が集団的自衛権を行使することが可能になる。中国と明確に戦うことになり、自衛隊基地も攻撃対象になるだろう」

 -自衛隊と米軍の連携をどう見るか。

 「自民党の安全保障調査会が先日、『敵基地攻撃能力』を『反撃能力』と言い換えた提言をまとめた。防衛省は海上自衛隊の護衛艦『いずも』型の空母化に向けた改修を進め、ミサイルの長射程化を急いでいる。これらは米軍と一緒に戦闘ができ、共同作戦が可能になる兵器類だ。米軍並みの攻撃力を持つことで『米軍の2軍』として活動する自衛隊の未来像がみえる。米国の戦争に協力できる体制がつくられつつある」

 「自民党内ではそれを抑止力と呼ぶ人たちがいるが、抑止力は『神話』のようなものだ。自衛隊が強くなり、米軍も一緒だから日本は攻められないという観測は永遠に証明されない。軍事力は重要だが、国家の安全は外交や経済、文化、人的交流など複合的な要素が組み合わされて初めて保障される。軍事力強化が万能であるはずはなく、神話に踊らされてはいけない」

 -ロシアのウクライナ侵攻を中国はどう見ていると考えるか。

 「中国はロシアへの経済制裁を含め、西側諸国の団結がいつまで続くか息を殺して見ているだろう。中国にとって輸出が制約されることのダメージは非常に大きい。だが、経済制裁が課せられようとも、大勢の若者が戦死しようとも、それを上回る動機があれば台湾を武力で統一に出る可能性はある。2カ月を越えて侵攻を続けるロシアを見れば、そう考えるべきだ」

 -呼びかけたいことは。

 「宮古や与那国にも自衛隊が配備され、県民の皆さんは最前線に立たされているとの危機感を持っているはず。犠牲を出さないためにはどうするべきか。日本政府や県がしっかり考えないといけない」

■5月7日タイムスホールで

 沖縄タイムス社は5月7日午後3時から、半田滋氏を招いてシンポジウム「変貌する安全保障環境と沖縄」を、那覇市のタイムスホールで開きます。半田氏が基調講演し、国際政治の専門家、山本章子琉球大准教授と2人で議論を深めます。定員は180人、入場は無料。シンポは復帰50周年事業の一環です。申し込みは沖縄タイムス編集局、電話098(860)3550(平日、土曜の正午~午後6時)。社会部、098(860)3552(日曜、祝日の正午~午後6時)。