「おめでたですか?」と聞かないで-。4月、RBCiラジオの番組内で発せられたメッセージが、交流サイト(SNS)で「同感しかない」「勇気を持って伝えてくれてありがとう」などと話題になった。発言の主は、琉球放送アナウンサー7年目の仲村美涼(みすず)さん(28)。番組を休んだ際、ツイッター上に「もしかして妊娠かな?」といった投稿があったことに、時折、声を詰まらせながら呼びかけた。背景に、どんな思いがあったのだろうか。(学芸部・新垣綾子)

「悩んだけれど、ラジオで思いを伝えられて良かった」と話すRBCアナウンサーの仲村美涼さん=4月22日、那覇市・沖縄タイムス社(名護大輝撮影)

 4月19日、朝の番組「アップ!!」の冒頭、その発言はあった。パーソナリティーを務める仲村さんは、前日のラジオ出演を欠席した理由について、沖縄の日本復帰50年をテーマにしたテレビの特別番組収録と重なったことを説明。その後「ちょっとお時間を頂きたい」と切り出し、言葉を選びながら語りかけた。

 「番組でお休みをもらう時に『おめでたじゃないの?』と言われることが結構あるんですよね。できれば今後、言わないでほしいなという気持ちがありまして」

●センシティブ

 高校時代からの夢を実らせ、アナウンサーになって6年目の昨年12月、大学の同級生で奈良出身の男性(28)と結婚した。大阪で働いていた彼が、沖縄での転職を決断したことでかなった新生活。翌1月、ラジオでも結婚を報告すると、別の仕事や体調不良で番組を休むタイミングなどで、妊娠かどうかを尋ねられる場面が増えた。「そう聞いてくる方々を非難したいわけではない」と強調した上で「ただ、うれしことではない」と言葉を継いだ。

 「妊娠・出産はとても喜ばしいことだけど、それとは裏腹に、働く一人の人間として、キャリアが止まってしまうという不安もある。今はアナウンサーとしてもっと実力を付けたい。もしその時が来て、私が話したいと思うまではそっとしておいてほしい」

 「正直、私は我慢できる。今回も笑って受け流すことはできた」と明かす。しかし同時に、出産・育児との両立に悩み、泣く泣くキャリアを諦めた業界の先輩たちや、不妊や病気のため、子どもを望んでもできない身近な人の顔が浮かんだ。

 「言う側にとっては何げない、悪気のない一言が、人によっては聞かれたくないセンシティブなことで、ナイフのように傷つけることがある。私だけの問題じゃない」。悩みながらもあえて発信しようと決意した。

RBCiラジオの番組「アップ!!」で共演する仲村美涼アナ(左)と首里のすけさん(提供)

●コメント続々

 「私たちの気持ちを代弁した」「結婚や出産するつもりがなくても、大切な話題」「反省した。気を付けようと思う」…。発言後、番組の公式ツイッターなどには、同様の体験や妊娠・出産へのプレッシャー、過去の言動を振り返るコメントが続々と寄せられた。大半が仲村さんに賛意を示す一方「番組の欠席理由を事前に説明していたら、避けられた事態だった」という趣旨の投稿もあった。

 仲村さんが印象に残ったのは「勇気」をたたえる意見が多かったことだ。「当たり前のことを話すだけでも、いまだに勇気を必要とする社会なんだなと痛感した。発信する機会や場がなく沈黙してきた人たちにとって、少しでも声を上げるきっかけになればいい」と願う。

 まずは、さまざまな立場や事情を抱えた女性たちの存在に想像力を働かせることから。そうして議論を深め、互いを理解し合うことが「女性が働きやすく輝ける環境や、育児がしやすい社会につながる」と考えている。

仲村美涼アナの発言要旨